通信を基盤とするグローバルITカンパニーとして巻き返しを図れるか――。
NTTは5月8日、2025年度決算の発表に併せ、23年に策定した中期経営戦略の業績目標達成を3年後に延期すると明らかにした。22年度に3.3兆円だったEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)を27年度に4兆円に拡大する計画だったが、30年度に後ろ倒しした。
計画修正を迫られた最大の原因は、稼ぎ頭であるNTTドコモの苦戦にある。22年度に1兆7907億円だったドコモのEBITDAは25年度、1兆7431億円に減少。シェア縮小と通信品質の悪化で大苦戦を強いられたコンシューマ通信事業の利益が1兆1272億円から8351億円まで落ち込み、成長中の非通信、法人向け事業が伸びても全社で補えなかった。
NTTの島田明社長は8日の決算説明会で、「モバイルビジネスのキャッシュ創出力が下がり、それをどうマネジメントしていくのかが見直しのきっかけになった」と説明した。
成長の主役はNTTデータグループへ
練り直した戦略においてNTTは、苦戦が続くドコモのコンシューマ通信事業については利益の現状維持を前提にしたうえで、今後の成長領域として主に3つの事業を打ち出した。
1つ目は、国内の法人向け事業だ。DX需要拡大を追い風に、システムインテグレーション(SI)を担うNTTデータ、ドコモの法人向け事業を一体的に強化する。25年度に計9000億円だった事業のEBITDAを30年度に計1兆2100億円まで引き上げる計画だ。
2つ目は、AIとデータセンターを柱にした海外事業の拡大だ。ITインフラ分野で米ハイパースケーラー向けを中心に需要が伸びるデータセンターへの設備投資を継続しつつ、AIを含むITサービス分野では買収などを積極的に進める方針だ。利益は25年度の4200億円から30年度に6000億円へ伸ばす。
そして3つ目が、金融を中心としたドコモの非通信事業だ。銀行や証券などの買収で強化してきた領域で、利益を25年度の3500億円から30年度に5100億円まで拡大させる。

今回の戦略見直しで鮮明になったのは、NTTグループにおける成長の主役が、従来の通信会社から、国内外でITサービスやデータセンターを担うNTTデータグループに転換しつつある構図だ。
NTTは昨年9月、2.4兆円を投じて同社を完全子会社化した。30年度までに計画する増益の内訳を事業会社別にみると、NTTデータグループ分が3900億円と最大だ。非通信と法人を伸ばすドコモ分が2600億円、AIによる業務効率化を進めるNTT東西分が800億円と続く。
かつて成長を支えた通信事業が成熟する中で、ネットワーク中心の企業から、ITを活用したソリューションを軸にした企業へと重心を移そうとしているNTTグループ。こうした経営戦略のシフトは、同日に発表された幹部人事にも色濃く反映される結果となった。
次ページ以降では、新たな幹部人事に透ける会社側の思惑、NTTグループの次期社長レースの行方などについて、会社関係者らの見方を交えつつ詳報する。
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