けれどここ1〜2年、その意識が少しずつほどけてきているそう。10年近く柔軟剤を使っていなかったが、かわいらしいクマのボトルにひと目ぼれして購入。香水もまた手に取るようになった。ストイックだった暮らしに、やわらかな変化が生まれている。
きっかけを聞くと「暮らしに向き合う時間が増えたんだと思う」と大木奈さん。夫がほぼ自宅で過ごすようになり、大木奈さん自身も家にいる時間が長くなった。洗濯がただの作業ではなくなり、ささやかな日常の楽しみに変わったのだ。
「いろんなモノを削ぎ落として、今はもう一度暮らしにうるおいを戻している感じですね。モノを次々と減らすのが楽しいというところから、モノを足すと楽しくなるというところに興味がシフトしているんだと思います」
モノを削ぎ落とした先に、大木奈さんは自分にとっての「ちょうどいい」を見つけはじめているようだ。
引っ越しを重ねたことで、家に対する執着がなくなった
しかしながら25m²の家で、夫婦と中型犬で暮らす。このあまりにもコンパクトな空間での生活は、誰にでも成立するものではないだろう。
「夫はとても前向きで楽天的な人。『これからどうしよう』と悲観的になることがないので、すごくいい影響を受けてます。この家も狭すぎるし、最初私は『無理やな』と思ってたんですけど、夫は『いけるいける』と言ってましたね」
インタビューをすぐそばで見守っていた夫に「住まいを狭くしていくのは不安ではありませんでしたか」と聞いてみると、「楽しかった」と即答。その迷いのないひと言からも、大木奈さんが背中を押されてきた様子を垣間見ることができた。
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【広さや便利さだけでは測りきれない、心のうるおい】
