「かかりつけの病院を中心に円を描くと、予算内のところが25m²の物件しかなかったんです。この部屋も超破格でした」
「さすがに狭い。もっと広いところはないのか」と考えてしまいそうなものだが、むしろ「ここで会ったが百年目!」と思うほど理想的な物件だったという。病院に近く、価値が下がりにくい都心部の駅チカにあり、予算に収まる物件にめぐり会えたこと。それは大木奈さん夫妻にとって、古さや狭さ以上に「ラッキー」なことだったのだ。
この狭さに怯まずにいられたのは、大木奈さん夫妻のユニークな引っ越し歴も関係している。85m²、50m²、31m²、29m²、25m²と、引っ越しのたびに住居を狭くしており、すでに小さく暮らすコツをつかんでいた。加えて、もともと面白がりの性格である。
「狭い家だけど、これはこれでかえって楽しみ」
狭さを前向きに捉え、老後を見据えて購入に踏み切った。
「もう自分でやったほうがいい」予算100万円の「セルフリノベ」へ
しかし、実際に住もうと思うと「想像以上に狭かった」。
25m²は畳数にすると約15畳。そのうち純粋な居住空間は6畳の居室と、3.5畳のキッチンを合わせた9畳ほど。引っ越し前の約30m²・12畳の空間でゆったり暮らせていたため「3畳狭くなっても余裕」と思っていたそうだ。しかし間取り的に、新居のキッチン部分はほぼ廊下としてしか使えず、6畳の居間だけが生活スペースになってしまう。
そこで大木奈さんは当初、引っ越し前にフルリノベーションを済ませようと、業者への依頼を考えていた。いずれ賃貸に出す可能性があったため、プロに任せたほうがいいと考えてのことだった。
ところが、計画は二転三転する。最初に依頼しようとしたリフォーム会社は、大木奈さんの意図とは違うデザインを提案してきた。次に依頼したリフォーム会社では「あとは工事に取りかかるだけ」という段階で社長が亡くなり、話そのものが消えてしまったという。
「なかなかうまくいかなかったんで、もう自分でやろうと思って」
次ページが続きます:
【仕切りは全部外したい】
