ウクライナ北東部の霧深い野原。バンの後部に置かれたスクリーン上の赤と黄色の点を、4人のウクライナ兵がじっと見つめている。手元には迎撃用ドローンと、夜を乗り切るためのエナジードリンクがある。
彼らはパイロットだ。この4人を含むおよそ1000組の兵士が、ロシアが対ウクライナ戦に投入している最も強力な兵器の一つであるイランが開発した攻撃ドローン「シャヘド」の撃墜作戦の最前線に立っている。
部隊指揮官のボリス氏(47)は「シャヘド1機を撃墜するためにドローンを50機使ったとしても、それだけの価値がある。シャヘドが1機でもすり抜ければ、はるかに価値のあるものを破壊しかねない」と語る。同氏は戦争で人生が一変するまで、テレビ局でニュースのプロデューサーをしていた。
弾頭の大型化を行った改良版「ゲラン」も開発
イランが設計した低コスト・長距離のシャヘドは、ウクライナにとって脅威となっている。ロシアはこの攻撃ドローンを毎月数千機投入しているほか、航法装置やエンジンの改善、弾頭の大型化を行った改良版「ゲラン」も開発した。
ウクライナはシャヘドや他の長距離ドローンの多くを撃墜しているが、空軍のデータによると、先月発射された約6500機のうち1000機以上がすり抜け、軍事インフラ、都市、エネルギー施設に大きな被害が生じ、数百万人が暖房や照明を奪われた。
フェドロフ国防相は今年2月、ロシアが発射するシャヘドおよび他の長距離攻撃ドローンの95%を無力化する目標を打ち出した。
ウクライナの軍事系慈善団体「カム・バック・アライブ」がまとめた空軍データによると、2月の迎撃率は85%強だった。フェドロフ氏は、ロシアの地上作戦が停滞している中、防空の強化はウクライナが今後も戦い抜く上で極めて重要になり得ると述べた。
ウクライナ当局者や製造業者、兵士ら計12人へのロイターのインタビューによると、迎撃作戦は徐々に成果を上げている。フェドロフ氏自身、今月になって迎撃率は90%に上昇したと語った。
ロイターはドローンの発射数や迎撃数のデータを独自に確認できていない。ロシア国防省はコメントの要請に応じなかった。
ロシア政府は民間人を標的にしているとの指摘を繰り返し否定し、空爆の目的はウクライナ軍を弱体化させることだと主張している。ウクライナも、無人航空機(UAV)とも呼ばれる長距離ドローン数千機をエネルギー施設を含むロシア国内の標的に向けて発射している。
シャヘド迎撃に取り組むウクライナの関係者は、数千の防空チームを擁する全国的な迎撃システムを軌道に乗せるには数カ月かかる上、ロシアとの技術競争の中でその成果が短命に終わる可能性もあるとしている。
カム・バック・アライブのテクノロジー専門家タラス・ティモチコ氏によると、例えば2025年初頭に初めてシャヘドを撃墜した迎撃機は、4カ月後には効果を失った。ロシア側がシャヘドの速度を時速170キロから200キロ超に引き上げれば振り切れることに気付いたためだ。その結果、最高時速300キロまで飛べるよう迎撃機の改良を迫られたという。
ウクライナ空軍の上級指揮官ユーリー・チェレバシェンコ氏によると、現在ロシアが送り込んでくるシャヘドのうち約15─20%が、通常のプロペラエンジンではなくジェットエンジンを搭載しており、飛行速度は時速400キロに達するという。
フェドロフ氏はロイターに対し、解決策はジェット推進の迎撃ドローンにあり、現在ウクライナのメーカーが開発中だと語った。
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【低コストドローンの戦い】
