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ライフ #東京で最初に住んだ街

「え、昭和にタイムスリップした?」 札幌のニュータウン出身の19歳女子が上京して住んだ「レトロすぎる」横浜の街の実態

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文芸を学ぶため、札幌から上京した筆者が暮らした西谷(写真:筆者撮影)
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歩いている間ずっと、当時の父のことを考えていた。不安定でめちゃくちゃな私を見捨てることなく、一緒に暮らしてくれた父。本当に申し訳ないし、ありがたい。私なら、あの頃の私と同居するなんて無理だ。

回転寿司店もそのままだった(写真:筆者撮影)

記憶通りの場所に回転寿司店を見つけたとき、思わず涙ぐみそうになった。

(写真:筆者撮影)

西谷駅に戻る途中、仕事のメールが何件か入り、そのたびに歩道の端で立ち止まって返信をした。〆切を守るとか遅刻しないとか、ビジネス用語を使うとか、そういった社会人として当たり前のことが、今の私はできている。20年前にはできなかったことだ。

西谷はまったく変わらないが、私はこの20年でずいぶん変わった。今の私はあまり気分の波がなく、あの頃のように訳もなく憂鬱になることもなければ、テンションが上がることもない。大人になってから知り合った人には「吉玉さんって感情の起伏が少ないですよね」と言われるくらいだ。あの頃なぜあんなにも不安定だったのか、今となってはもうわからない。これでもかと派手だった服とメイクも、すっかり年相応に落ち着いた。

本が発売されるたび、売れ行きをチェックする父

大人になって離れて暮らすようになってからのほうが、父とはよく話すようになった。若い頃さんざん迷惑をかけたから、ここ数年は親孝行したいという気持ちが強い。お盆とお正月はなるべく実家に帰るようにしているし、この間は両親にちょっといい回転寿司をごちそうした。昨年は兄一家と姉一家を集めて、両親の金婚式お祝いパーティーを開いたりもした。その程度の親孝行では、西谷にいた頃の父の苦労は報われないだろうが。

私は過去に2冊の本を出しているが、私の本が発売されるたび、父はいくつかの本屋を回って売れ行きをチェックしていたようだ。

父が元気なうちに、3冊目の本を出したいな。

懐かしい西谷の街で、そんなことを思った。

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