「質問をやめてくれ」
本質を問うことを封じられた瞬間、勉強する意欲がなくなり、「盗んだバイクで走り出した」。警察の世話になり、朝の5時に両親が迎えに来たこともある。
高校はなんとか卒業した。「手に職をつけろ」の母の一言で美容専門学校に進路を決め、上京する。その母は、地元のお弁当屋で働いていた。かんぴょう巻き、納豆巻き――お弁当屋に並ぶ一通りの巻き寿司は、自然と母から教わっていた。それが、後にマドリードで店を構えるときの大事な基礎になる。
100万円以上の借金を抱えた20代
専門学校を卒業した20歳の洋花さんは、当時没頭していたスノーボードの世界に飛び込んだ。ニュージーランドでハーフパイプコースを受講し、帰国後も雪山を転々とした。だが、シーズンが終わって東京に戻るたび、調子は崩れた。
冒頭の独白「人と関わりたくなくなってしまって……」は、この時期のものである。
当時の息苦しさを、洋花さんはこう振り返る。
「田舎から上京するときって、可能性を求めて行くじゃないですか。でも、居場所がない。田舎に戻る選択肢はあるけど、そこでもない。どこに行ったらいいのか、わからなかった」
東京での生活にすり減った洋花さんは、いったん秋田の実家に戻る。そこで一冊の本に出会った。ジェームズ・レッドフィールドの『聖なる予言』。ペルーを舞台にした長編小説だった。心の奥にずっとあった「インドに行きたい」という思いが、本をきっかけに噴き出した。
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【詐欺に遭い借金を抱える】
