また、初回から何度も参加しているという50代の男性は「目の前の一人ひとりに気持ちを傾けたら、14年15年の人生があるなと感じ、『最近の中学生は』とか言ったらいかんとすごく思いました。僕が話したことに対して、『めっちゃわかります』と言われたことがすごくうれしく、とても近く感じました。これから一緒に生きていきましょう」と大きな声でメッセージを送った。
トーク・フォークダンスは、卒業式や発表会などの学校行事とは違う、特別な行事として受け止められていることが伝わってきた。
吉住美津子校長は、トーク・フォークダンスが始まった当時、同校に勤務しており、校長として戻ってきた。印象に残っているエピソードは数え切れないほどある中で、1つ挙げるなら「感謝を伝えたい人」をテーマにしたときの話だという。
「女子生徒が『普段はケンカばかりして面と向かって言えないけど、いつも支えてくれるお母さんにありがとうと伝えたい』と話したそうです。それを聞いた地域の方が『手紙で伝えるといいよ』と提案してくださったと聞きました。普段は話せないことを初対面の大人に打ち明け、それを地域の大人が応援してくれる。トーク・フォークダンスでは、そんな特別な関係性が確実に育まれています」
「立派な人ばかりじゃない」と知って子どもは安心する
トーク・フォークダンスはどうやって始まったのか。舞台裏に関わったキーパーソンの1人が、「対話の場づくりのコーディネーター」として全国で活動する福津市在住の山口覚さんだ。
福間中がコミュニティ・スクール(地域と学校が一緒に子どもを育てる仕組みのある学校)になるため、2010年に立ち上がった準備委員会のメンバーだった山口さんは、委員会で「大人だけで話すのではなく、当事者でもある中学生の声も聞きましょう」と提案。一方、教諭らは、生徒と大人が対話する場を作っていた京都の中学校へ視察に行き、自分たちも試しにやってみることに。
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【日本の子どもの自己肯定感が低いのは…】
