そこで私は逆張りをした。ITバブル崩壊直後で、ベンチャー企業への就職・転職は皆が避けていた。だからこそ、そこに絞って就職活動をしたのだ。当時はスタートアップが新卒採用をしていなかった時代なので、アプローチの仕方にも相当な工夫を凝らした。
詳細は紙幅の都合で割愛するが(興味のある方は拙著をご参照願いたい)、この方法をとることで、同じ時間と労力でも、リターンの期待値が高い方向に賭けることができた。量で勝負するか、方向性で勝負するか――この選択が、その後のキャリアを大きく分けたと今でも思う。
もちろん、当時の状況下で量で勝負した判断を責めるつもりはない。ただ、今振り返れば違う選択肢もあった、ということだ。
「量の努力」から「方向性の努力」へ
要するに、同じ時間と労力をかけるのであれば、よりリターンが大きいと思われる方向性を見極め、その方向性に向けて努力する事が大事、という事だ。努力は、「工夫」と掛け算になってはじめて結果に結びつく。
言い換えれば、勝負を分けるのは「量」ではなく「方向」だ、ということになる。
量をこなすことは、学生時代までは正解だった。先生も教科書も、正解までの道筋を示してくれていたからだ。しかし社会人の世界では、まず「どちらに向かって努力するか」を自分で決めなければならない。ここを誤ると、量をこなせばこなすほど、かえってゴールから遠ざかっていく。
正解の無い世界で、かつ前提や常識がものすごいスピードで変わっていく時代だからこそ、“良い努力”の意味を噛みしめたい。自分の時間とリソースは有限だ。何に使うかを見誤れば、どれだけ頑張っても報われない。
しかし、方向性の間違いに気づくのに、遅すぎるということはない。気づいたその瞬間から、“良い努力”は始められる。そしてなにより、方向性さえ合っていれば、努力は必ず結果を連れてくる。
