――フレアスの障害者雇用率は非常に高い水準です。事業特性が大きな理由だと思いますが、もともと障害者雇用を想定していたのですか。
主力事業である訪問マッサージは、国家資格を持った「あん摩マッサージ指圧師」が、麻痺があったりする高齢者のお宅や施設に伺ってマッサージによって痛みの緩和や症状の改善を行っている。医師の同意の下で医療保険制度の適用対象となっている。
実は視覚障害者を雇うことになったのはたまたまだ。私自身がはり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師で、2000年に地元・山梨の実家で訪問マッサージの会社を興した。患者さんやご家族には非常に喜んでもらえ、ニーズは非常に多かった。
だが、鍼灸マッサージ師の人数が少なく、特に山梨は人手不足で採用に苦労した。そうした中、3番目に応募してきたのが全盲の50代男性だった。
最初は躊躇があった。訪問には車の運転が必要だが、「どうやって訪問するんだ?」と。しかし、人手が欲しいので、私の弟が運転や書類作成などをサポートする体制で働いてもらったところ、非常に評判がよく、うまく回った。
障害があっても、しっかりサポートすれば戦力になることがわかったので、その後は視覚障害者も晴眼者も関係なく働いてもらうようになった。
視覚障害者の活躍を支える仕組み
――サポート役をつけるほかに工夫をしたことは。
iPadを活用している。読み上げ機能や(弱視の方なら)拡大機能、音声入力をうまく使っている。晴眼者でも眼鏡をかけるのと同じで特別なことではない。
研修や教育では見せて教える、見て覚えることができないので、手を取って、触って「こうだよ」と手技を教えている。私自身が盲学校で教えているので、そうした経験から学んだこともある。
――デジタルに頼れない研修などでは苦労が多いですか。
日本の視覚障害者教育は、江戸時代から行われてきた。約400年前、杉山和一という全盲の鍼灸師が両国に視覚障害者のための職業訓練学校を世界で初めて作った。手を取って、触ってアナログで技術を教え、教わってきた。
さらに、日本にはもっと昔から「当道座」という視覚障害者の団体があって、鍼灸や芸能を担っていた。視覚障害者に活躍してもらう仕組みが昔からあったといえる。そういった意味では特別なことではない。
しかも、今はさまざまなテクノロジーがある。創業5年目くらいでeラーニングを導入した。「動画が見えないではないか」と思われるだろうが、音声で聞けるので有効だ。iPadもかなり早い段階で導入した。全国に店舗展開していく中で、こうしたテクノロジー活用はマネジメントサイドでも大いに役立った。
この先はAIの進化によって障害者と健常者の差はもっとなくなる。音声入力の精度は上がっているし、自動運転が実現すればサポートドライバーもいらなくなる。テクノロジーの進化は福音だ。
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【全国ナンバーワンは全盲の男性】
