――19年に上場しました。利益追求と事業の社会性のバランスについてどのように感じていますか。
実は、上場は絶対に嫌だと思っていた。社会保障という事業の性質と、利益の最大化は合わない、下手をすると利益のために質が落ちてしまうと考えていた。
だが、団塊の世代が全て後期高齢者になる25年が迫る中、サービスを全国に広めるにはそれまでの出店ペースでは絶対間に合わない。15年に上場という手段を使って、ヒト・モノ・カネを得る決断をした。
結果として、上場から6年で450店体制となった。「全国津々浦々に一人でも多くの方に速やかにフレアスのサービスを提供し、日本の在宅事情を明るくする」という経営ビジョン実現には、上場という手段はよかったと思っている。
ただし、上場翌年にはコロナ禍に見舞われ、収束後には新規事業で大失敗した。残念ながら株式市場の期待には応えられていない。
――22年に参入したホスピス事業を約3年で大部分譲渡しました。
ホスピス事業自体は、終末期を自分らしく過ごしてもらえる素晴らしい仕事だと思っている。訪問マッサージ事業との相性もいい。高い成長を想定していたが、外部環境の変化や、われわれの体制が不十分だったこともあり立ち行かなくなってしまった。
――24年には行使価額修正条項が付いた新株予約権をEVOファンドに発行して、資金調達を行ったことが大きな批判を受けました。
あれについては反省している。正直、やりたくはなかったが、当時はやらざるを得ない状況で、限られた手段の1つだった。やってみたら成果も出ず、株主には大変怒られた。(時間を戻せたら)絶対にやらない。
障害者だけでなく高齢者にも活躍してもらう
――株価は低迷していますが、ファンドなどから非上場化の提案などあるのでは?
ファンドに売ることは全然考えていない。人が主役の事業なので、現場を守れる形での成長が大事だ。ホスピス事業の譲渡の後、全営業所を回った。現場ではみんなが地道に利用者のお宅や施設を訪問していた。彼らが活躍できるようにしっかり経営していきたい。
――今後の経営リスクは何でしょうか。運営上の不祥事でしょうか。人口動態から高齢者が減っていくことでしょうか。
運営は常に改善努力をしていく。最大のリスクは需要よりも供給側にある。われわれの顧客である高齢者は60年ぐらいまで減らない。サービスを届けたいが働き手が足りないという問題がある。だからこそ、障害者も大歓迎だ。
当社には80歳のマッサージ師がいる。大企業を早期退職してマッサージを学び、60歳で「新卒」として入った方だ。定年は65歳だが、パートとして週1回バイクで患者宅を回ってくれている。マッサージは力ではなく、知識とスキルが重要なので年齢もデメリットにならない。高齢の患者さんと年齢が近くてむしろ相性がいい。
テクノロジーで生産性を上げて、障害や年齢に関係なく大活躍してもらいたい。
