ここでは、「ポリアミンをつくる環境を腸内につくる」という目的でシンバイオティクスを活用します。
具体的には、ビフィズス菌(研究ではLKM512株)と、アルギニンというアミノ酸を同時に摂取します。すると、ビフィズス菌がつくる酸が引き金となって、もともと大腸内にいた別の細菌の代謝が活性化され、アルギニンを原料としたポリアミンの産生が高まるのです。
実際に、マウスでは摂取から3時間後、人でも早い場合は6時間後に、便中ポリアミンの増加が確認されています。
日本の研究チームによって解明された仕組み
では、このとき大腸内では何が起きているのでしょうか。
まず、ビフィズス菌が、乳酸や酢酸といった酸をつくります。もともと大腸には大腸菌の仲間が住んでいますが、大腸菌は中性付近の環境を好みます。
そのため、大腸内が酸性に傾くと、生き残るためにアルギニンをとりこみ、それを「アグマチン」という物質に変えて、大腸内に放出します。
次に、このアグマチンを、大腸内に住んでいるフェカリス菌(エンテロコッカス・フェカリス)という菌がとりこみます。フェカリス菌はアグマチンをエネルギー源として利用し、その代謝の過程で副産物としてプトレッシン(ポリアミンの一種)をつくり、それを大腸内へ放出します。
私たちは、こうして腸内細菌がつくったプトレッシンを大腸から吸収し、血液を通じて全身の細胞で利用しているのです。
この仕組みは、日本の研究チームによって遺伝子・分子レベルで解明されました。専門的には「腸内ハイブリッド・ポリアミン生合成機構」と呼ばれています。

