まず注目されるのは、31〜56歳のグループに比べて、60〜80歳のグループでは、血中ポリアミン濃度が大きく低下していたことです。個人差はあるものの、60歳を過ぎたあたりから、体内のポリアミンが急に減る傾向にあると考えられます。
この状態が続くと、どうなるでしょうか。細胞の活動に必要なポリアミンが不足すると、細胞が正常なはたらきを保ちにくくなります。つまり「細胞の老化」が進みやすくなるのです。
90歳以上の長寿者のグループは、血中ポリアミン濃度が、再び高い値を示していたのです。この結果は、年齢とともに、ポリアミンが常に減り続けるのではなく、高い濃度を保っている人が存在し、それが長寿につながっている可能性を示していると考えられます。
高齢になっても、体の中でポリアミンを多くつくれる人たちなのか、あるいは、ポリアミンを体の外から取り入れるような生活習慣を身につけた人たちなのか、それは、この結果だけからはわかりません。しかし、「長寿とポリアミンとの間に深い関係がある」ことを示唆する、とても重要な研究結果だといえるでしょう。
生活習慣がポリアミンに与える影響
加齢とポリアミンの関係について、ここまで説明してきましたが、いかがでしょうか。なんとなくでもご理解いただけたら幸いです。
ようするに、加齢に伴ってポリアミンが減少し、さらに、それによってポリアミンの減少が細胞の老化を進めるという悪循環の可能性がある、というわけです。
そして、この過程に影響を与えるのが「生活習慣」です。さまざまな慢性疾患を引き起こすとして注意喚起されている代表的な生活習慣には、次のようなものがあります。
・塩分のとり過ぎ
・運動不足
・睡眠不足
・喫煙や、過度のアルコール摂取
・心理的ストレス
これらはいずれも、細胞の老化を直接進めたり、あるいは、細胞の老化につながる、オートファジーの低下や、慢性炎症を引き起こすことが報告されているのです。
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【よい生活習慣は「体の老い」を遅らせる】
