NAND型フラッシュメモリーで世界シェアの2〜3割を握るキオクシアホールディングス(以下、キオクシア)。AIブームで空前の追い風を受けるものの、そこに乗り切れないジレンマを抱える(詳細記事はこちら)。
キオクシア株の月間売買代金が16兆円超という記録的な大台を突破した3月、同社はとある半導体スタートアップに出資した。そこから透けて見えるのは、フラッシュメモリー市場がAIブームに沸く中でも、”次の10年”へ向けた仕込みだ。
秘密計算でメモリー需要は跳ね上がる
「メモリー需要が伸びる次の市場はどこだ」
キオクシアの前身である東芝メモリ時代から、研究所でそう問い続けていた幹部がいた。4月からキオクシア社長を務める太田裕雄氏だ。
社内では、AIや宇宙といった答えが並んだ。その中で、当時研究所に在籍していた吉水康人氏が「AIの次」として提案したのが、秘密計算技術だった。
「完全準同型暗号(FHE)」と呼ばれるこの技術では、データを暗号化したまま計算処理ができる。ただし、暗号化にあたってノイズや乱数を大量に織り込むため、データ量は桁違いの大きさになる。保存先となるフラッシュメモリーの需要は、それだけ跳ね上がることになる。
一方、この技術のボトルネックは計算の重さだ。汎用CPUで処理すれば、実用化には非現実的なほどの時間がかかる。秘密計算に特化した専用の半導体開発が、実用化のカギを握る。
キオクシアの研究所では「AIの次の時代でもメモリー市場が伸びていく仕掛け」としてこのロードマップが敷かれていた。
クラウド事業を提案
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