まるでフリーフォール――。日本の労働力減少やIT人材の不足を背景に、年率10%成長が見込まれるコンサルティング業界。2030年の国内市場規模は24年比1.8倍の約4兆円まで拡大する予測とされ、万事好調であるはずの各社の株価に異変が起きている。
きっかけは、2月上旬に発生したアンソロピックショックだ。アメリカのAI企業、アンソロピックが開発したAIエージェント「Claude Cowork」は、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)のみならず、システム開発やプロジェクト管理などを主とするコンサル業界の仕事を奪うとの懸念を招いた。Coworkが登場した2月以降、コンサル領域に力を入れる大手SIer(システムインテグレーター)の富士通やNEC、野村総合研究所をはじめ、各社の株価は大きく下落している。
株価の変調は、今に始まったことではない。昨年の秋頃から、一部企業の決算で人材の費用増や採算悪化が嫌気され、TOPIXとは逆行して関連株価は下落し始めていた。そこにアンソロピックショックが重なり、日系大手のベイカレントや開発・テストとコンサルを一体で展開するSHIFT、中堅のライズ・コンサルティング・グループ、INTLOOPなどは、25年8月末を起点とした株価が半値近くに売り込まれている。
セクター全体でまとめ売りが発生
株式市場はアンソロピックショックの前から、コンサルの人海戦術モデルに疑念を強めており、足元でも不安は払拭できていない状況だ。
「昨秋における第一段階の売りはヘッジファンドや短期筋が原因だったが、今年2月は個別の企業業績が精査されず、IT・ソフトウェアセクター全体でまとまった売りが発生した。今回はロング保有志向の投資家もポジション(持ち高)を減らさざるをえない状況となった」と、ある市場関係者は明かす。

もっとも、株価とは対照的に顧客の投資意欲は旺盛だ。ベイカレントの出身者らが立ち上げ、25年11月に上場したノースサンドでは、国内におけるITサービスとビジネスコンサルティングを合わせた市場規模は、29年に10兆円以上へと成長すると見込む。
同社の前田知紘社長CEOは「DX(デジタルトランスフォーメーション)需要が一巡すれば企業の投資は落ち着くのではないかという見方があるが、AIなどの新しいテクノロジーを日本企業が導入して変革を起こそうとする限り、システム切り替えなどのIT投資は必ずセットで発生し続ける」とみる。
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【AIに代替される業務の中身】
