大金を落とす客は今でもラスベガスにやってくる。だが、予算に限りのある人たちは、もはや勝ち組の気分ではいられない。
プライベートジェットが空港にひしめき、高額が賭けられるテーブルにVIPが集まる一方で、来訪者は全体として減り続け、不安の波紋をこの街とその周辺に広げている。カジノはカードルームを閉鎖し、レストランは営業時間を短縮。リゾート施設は特別価格や値引きで客を呼び戻そうと躍起になっている。
アメリカ全体の不調を告げる兆候
そして、スパンコールに包まれた経済指標ともいえるラスベガスの不調は、アメリカ全体の不調を告げる兆候になることが多い。
「アメリカが風邪を引くとラスベガスはインフルエンザになると言う人もいるが……」とネバダ州のアーロン・フォード司法長官は前置きして、こう言った。
「私に言わせれば、肺炎だ」
「シン・シティー(罪の街)」と呼ばれるラスベガスの経済的な繁栄は長年、多くの観光客が自由に使えるお金を惜しげもなく使うことで支えられてきた。
だが、富裕層が潤い、それ以外の人々が苦しむ経済の下で、その構図は揺らいでいる。
大統領ドナルド・トランプの関税政策や移民摘発はラスベガスで働く人々に動揺を広げ、海外からの旅行者、中でもカナダ人の反感を買っている。カナダはアメリカの「51番目の州」になるという発言をトランプが繰り返すようになって以降、カナダ人観光客は激減した。
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【収入の7割を失ったレストラン】
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