西岡:そして、こういう問題に強いのは、文章を読んですぐに図式化できるタイプだと思うんですよね。
問題を「図」にして初めて思考が始まる
平井:だいぶ昔のことですが、私が学生だったころも、東大入試の数学なんかは、よく「問題文は書いてあるけど、図は描かれていない」と言われていました。つまり、自分で図を描いたうえで解けるかどうかが試されていた。思い返せば、私自身、当時からよく図を描いて考えていましたね。文章で書かれていることを、まず図として描き出さないと思考がスタートしないという感覚でした。
西岡:その感覚は、よくわかります。
平井:今は、はるかに情報が即座に、かつ大量に手に入るようになったことで、むしろ何をどう考えたらいいのかわからなくなっている人が多い気がします。あふれかえる情報にまともに取り合っていたら、時間がいくらあっても足りません。そのなかで何かについて考えるのなら、まず、何が本当に大事なのかを見極めなくてはいけない。裏を返せば、その本当に大事なことを見極めさえすれば、物事は意外と比較的シンプルに考えられる、とも言えますね。
西岡:その意味でも、先ほどおっしゃった「図を描けること」――言い換えれば「知識を構造化する力」が、今まさに、いっそう重要になっているのだと思います。
平井:西岡さんも『東大思考』に書かれていましたが、受験勉強で覚えなくちゃいけないことって、実は少ないんですよね。数学ひとつをとっても、公式の成り立ちを理解していれば、別に丸暗記なんかしなくても、問題を解くときに自分で公式を組み立てて答えを出せる。全部覚えておかなくていいので、そのほうが楽なんですよ。本にそう書こうとしたら「そんな難しいこと、さらっと書かないでください」と編集者に止められましたが。
西岡:成り立ちを理解することこそ、本当の「知識」ではないかと思いますけどね。図式化にも同じことが言えるのではないでしょうか。
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【図は関係性を示してくれる】

