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〈キーマンに聞く〉サッポロは、なぜ虎の子の「恵比寿ガーデンプレイス」を手放すのか? 松風副社長が語る売却決断の裏側

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サッポロHDの松風里栄子副社長
不動産売却を決断するうえで、中心的な役割を担ったサッポロHDの松風里栄子副社長(撮影:今井康一)

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「ヱビス」や「黒ラベル」など、長年のファンも多いビールブランドを持つサッポロビール。その親会社であるサッポロホールディングス(HD)は、安定的な収益源となっていた恵比寿ガーデンプレイスをはじめとする不動産事業を、2026年6月から29年6月にかけて海外の投資ファンドに売却する。
酒類事業に集中するとして、大きな転換点を迎えている同社だが、国内のビールシェアでは、アサヒビールやキリンビールなど競合他社を追う立場。酒類市場も縮小傾向にある中、なぜ今、虎の子の不動産事業を手放すのか。
今回の決断に踏み切るうえで、中心的な役割を担ったのが26年3月に副社長に就任した松風里栄子氏だ。博報堂出身の松風氏は、16年からポッカサッポロフード&ビバレッジ社の経営戦略本部で構造改革を手がけたほか、近年はサッポロHDの常務、専務として、経営戦略を担当してきた。不動産売却に至った裏側、そして不動産事業なき後の成長をどう実現していくのか。松風氏に聞いた。

これまでの経営とは「違う判断」

――不動産事業は、サッポロHDで安定して利益を稼いできた重要な収益柱の1つです。なぜ売却するのでしょうか。

最大の要因は、「恵比寿ガーデンプレイス」だ。

われわれの不動産事業の中で、資産的にも収益的にも大部分を占めているが、開業して30年余りが経ち、老朽化している。設備更新や、リノベーションしながらバリューアップをしていく投資がこれから必要となる。そのためには何百億という多大なキャッシュが長期にわたって出て行くことになる。

開業から30年余りを迎えた恵比寿ガーデンプレイス(写真:編集部撮影)

それを考えると、もともと(ホールディングスの)中核である酒類事業の成長が妨げられる部分もあるのではないか、老朽化への対応で社内でキャッシュの取り合いになる可能性を真剣に考えた。

(今回の不動産売却は)これまでの経営とは違う判断だったので「本当に大丈夫なのか」という声や、土地の名前を踏まえると「ブランドへの影響があるのでは」といった声もあった。侃々諤々、相当いろいろな議論があったが、最終的には酒類中心の企業としてやっていくことを選択した。

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【アクティビストの存在もきっかけの1つ】

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