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ビジネス #ブラザー工業の“変身”経営

ブラザー工業が2年越しの「雪辱のTOB」で売上高1兆円へ道筋…ミシンからプリンターの次は産業領域へ、カラオケ事業は売却

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愛知県名古屋市に本社を構えるブラザー工業は、海外比率85%超のグローバル企業だ(撮影:尾形文繁)

プリンター大手のブラザー工業が、“変身”を急いでいる。

今年3月、同社は広告や看板の印刷に用いる業務用大判プリンターを手掛けるMUTOHホールディングス(以下、MUTOH)を連結子会社化した。TOB(株式公開買い付け)価格は、買収発表前日の終値に対し約2.6倍の大幅なプレミアムを乗せ、買付総額は約308億円だった。

2027年度に売上高1兆円、営業利益1000億円(24年度は売上高8766億円、営業利益699億円)を目指し、産業領域へのシフトを急ぐブラザーにとって、今回の買収は2年前の雪辱を果たす側面もありそうだ。

「同意なきTOB」失敗から2年

Tシャツなどに印刷するガーメントプリンターに強みを持つブラザーだが、大判プリンター領域への参入を目指したのは初めてではない。遡ること2年前、24年3月に業界2番手のローランドDGに対し、同意なきTOBを仕掛けた。

しかし、結果は惨敗だった。ローランドDG側は投資ファンドと組んでMBO(経営陣による買収)を選び、ブラザーの提案を拒絶。PR会社を駆使したメディア戦略で、世論と株主を味方につけたローランドDG陣営の前に、ブラザーは追加の価格引き上げを断念して撤退を余儀なくされた。

この時の失敗について池田和史社長は「価格の競り合いで負けたのではない。われわれのプロセスの未熟さがあった」と総括する。撤退の条件を事前に明確にせず、買収後の統合を見据えた全体計画も不十分だった。結果、相手の反応を見ながら手を打つ場当たり的な対応に終始してしまったという反省だ。

このときの教訓をもとに、ブラザーはM&A(合併・買収)専門部隊を社内に新設。財務・法務・人事が横断的に連携して事前に計画を策定する体制へと組織を刷新した。今回の買収では、その新体制が初めて生かされる。

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【 MUTOH買収をめぐる懸念】

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