一方、ブラザー傘下となるMUTOHは、苦境に立たされている。広告や看板のサイングラフィックに用いられる大判プリンターを手掛けるが、この市場は変動のさなかにある。
かつては日本勢による独壇場だったが、中国・アジアの競合メーカーが価格攻勢を武器に台頭。顧客である印刷業者も統廃合が進んでおり、需要は大型・大量印刷が可能な上位機種へとシフトしている。
この市場ではセイコーエプソンがトップに君臨し、ミマキエンジニアリングやローランドDGが2番手として後を追う。中堅のMUTOHは中価格帯以下の製品に強みを持つがゆえに、価格競争に巻き込まれやすい。業界関係者からは「定評のあるメーカーではあるが、競合と比べ機敏さに欠ける面がある」との指摘もある。
MUTOHは今26年3月期の売上高182億円、営業利益9億円を見込むが、単独での事業継続には物足りない規模である。ブラザー傘下入りは、生き残りをかけた選択だった。
買収金額308億円は高値掴みか
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