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ビジネス #ブラザー工業の“変身”経営

【インタビュー】ブラザー工業の池田社長「失敗に寛容だから変身できる」、プリンター依存脱却して「産業用領域へシフト」

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池田社長
ブラザー工業は海外売上高比率が85%超。海外志向の高さは創業時からのDNAと池田社長(撮影:尾形文繁)

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祖業のミシンからプリンター、工作機械、カラオケまで、独自の多角化戦略で成長してきたブラザー工業。2030年度に向けて、大きな事業構造の転換を進めている。(詳細な記事はこちら)。
背景には、屋台骨であるプリンター事業への危機感がある。ブラザーはA4複合機や家庭用プリンターに強く、中小事業者向けに高いシェアを持つ。売上高の6割以上を占め、インクなどの消耗品で稼ぐ優良なビジネスモデルを堅持する。
しかし、そのうまみゆえに池田和史社長は「気づかないうちにゆでガエル状態になりかねない」と危機感を募らせる。
変革への手は打っている。今年3月、同社は看板やポスターの印刷に用いる大判プリンター大手のMUTOHホールディングス(以下、MUTOH)の完全子会社化に向けたTOB(株式公開買い付け)を完了した。買付額は約308億円。27年度までの3年間で成長投資枠2000億円を設けており、さらなる買収に意欲的だ。
一方で、「JOYSOUND」で知られるカラオケ事業は切り離す。カラオケ店舗運営事業に続き、業務用カラオケ機器の企画・開発を担う子会社エクシングについても株式の大半を譲渡する決断を下した。
24年に社長に就任した池田和史氏の指揮の下、ブラザーは産業用領域への“変身”を加速している。30年度の売上高1兆円目標への道筋を、どう描くのか。

「お団子サッカー」だった

――M&A(合併・買収)に意欲的ですが、2年前のローランドDG社へのTOBは撤退という結果に終わりました。市場からは「攻めきれなかった」との見方もありましたが、何が足りなかったのでしょうか。

当時は「同意なきTOB」とショッキングに報じられたが、撤退が会社にとって大きなダメージだったとは考えていない。価格の競り合いで負けたわけでもない。むしろ、出そうと思えばいくらでも出せる余裕は十分にあった。最も痛感した教訓は、われわれの「プロセス」と「事前の準備不足」に尽きる。

――準備不足、とは具体的に?

どこを撤退の境界線(上限価格)とするか、買収後にどう統合し運営していくかといったPMI(統合プロセス)のシナリオが十分に詰められていなかった。相手側と統合に向けた話し合いを続けている最中に、ファンド側からのTOBが突然発表され、後手に回ってしまったのだ。

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