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子ども、外国にルーツのある人、識字に障害がある人……「ルビ」の力でさまざまな人のアクセシビリティを向上させたい

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ルビへのニーズは意外にも多かった。ただ、思わぬ障壁もあって……。(写真はいずれも本人提供)
  • 松本 大 マネックスグループ会長、ルビ財団ファウンダー・評議委員
  • 窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO
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窪田:団体としては、どんな社会を目指して活動されているのでしょうか。

松本:現在の文章データは多くの場合、ローマ字で入力して漢字に変換して作成されています。つまり、その文章データの中に、ルビに使える読み方のデータがすでに潜在しているということです。

これを活用して、ルビ量を読み手の好みで変えられる技術を確立し、広めていきたいと考えています。総ルビから難読漢字のみ、完全ルビなしまで、漢字の習得レベルなどに応じて変えられたら、とても便利だと思いませんか。

窪田:いいですね。テクノロジーとしては十分可能なように思えます。

松本:実際、インターネット上に「青空文庫」というサイトがありますね。あれは総ルビのデータとルビのないデータの双方が用意されていて、好きなほうを読むことができます。なぜこれが可能かというと、青空文庫に掲載されている作品は著作権が切れているからです。

実は、ルビがどこに振られているかも含めて、出版物の著作権は出版社が持っています。ルビ表示については技術面の問題だけでなく、権利の都合上、勝手に変えられないという問題があります。

谷崎潤一郎も「ルビ」について書いていた

窪田:そういう壁がありましたか。ルビをどれぐらいどこにつけるかという決定にも、著者の思いが反映されているということでしょうか。

松本:明治大正のころは、作家の間でもいろいろな論争がありましたからね。あの谷崎潤一郎の『文章読本』の中にも、ルビについて綴っている章があるんですよ。そこに書いてあるのは、要するにルビとは、人によって好き好きのあるものだということです。

例えば永井荷風などは、ルビの使い方がとても上手でした。彼の文章には難しい当て字が多用されているので、ルビがなかったらかなり読みにくいはず。しかしそこにルビを振ることで、本来の言葉以上の意味を含ませて、きれいな音や情景がふわっと浮かんでくるような作品にしていました。

窪田:ルビの著作権をコントロールすることで、作家の意図や芸術性が守られるということも言えるのですね。

松本:だからこそ、我々の動きも含めた社会活動が必要になってくると思います。用途によってはルビ部分の著作権を緩和してほしいという要望を、ある程度の規模のムーブメントにしたい。そうすれば出版社側も、そういう理由だったら自由にルビをつけていいですよという風に変わっていくかもしれません。

(構成:鈴木絢子)

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