「街にこだわりはなかった」から「家族で住むならここ」へ―池袋から20分、中古戸建て購入した42歳語る"大泉学園"のリアル

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「自然があるほうが、昔から好きなんです。ひらけている場所というか。忙しいからこそ、住む場所では、自然に囲まれて、ぼーっとしたいですね」

明確な街へのこだわりがあったわけではない。それでも、緑への志向は一貫していた。

保谷、石神井台、そして大泉学園。その積み重ねが、いまの住まいにつながっている。

石神井公園
余白のある広さと、季節の移ろい。都市生活のなかで削られがちなものが、この公園には静かに残されていると感じた(写真:筆者撮影)

住んでみてわかった街のリアル

理想の環境に見える街にも、暮らしてみて初めて見える現実がある。

とりわけ印象的だったのは、子育て環境の「豊かさ」と「きびしさ」が、同時に存在していることだった。

まだ今ほどに「働き方改革」という考え方が浸透していなかった頃。

小山さんが出産前に勤めていた会社は激務だった。子育てと両立できる環境ではなく、産前に退職。それでも「また働きたい」という思いはつよく、子どもが1歳になる頃には再就職するつもりで、職探しと保育園探しを同時に進めていた。

そこで直面したのが、練馬区の保育園事情だ。

「練馬区の中でも、大泉学園・石神井エリアは激戦区なんです。とくに大泉学園駅周辺は、ほとんど空きがなくて。両親ともにフルタイムで働いていないと難しい状況でした」

公園や緑が多く、子育て世帯が集まる街。

その裏側で、保育園の入園競争もまた激しい。

仕方なく、最初の年は隣駅の保谷にある認可外の保育園へ。保育料は月7万円。決して安くはない。それでも「働きたい」という気持ちは揺らがなかった。

ほどなくして仕事も決まり、翌年には大泉学園駅近くの小規模な認可保育園に空きが出た。

しかし、見学に行くと、建物の一階で、決して広いとはいえない空間だった。

「赤ちゃんのうちはいいけれど、歩き回るようになっていたので、もう少しのびのびできる場所がいいなと思って」

ちょうどその頃、コロナ禍が始まり、働き方はリモート中心へと変わる。

街の子育て環境をあらためて見渡すと、幼稚園という選択肢が浮上してきた。

延長保育は18時まで。延長時間中にチアダンスやピアノといった習い事のプログラムもある。

翌年から、子どもを幼稚園に通わせることにした。

転職や、子どもの預け先、そして引っ越し。

いくつもの選択を重ねる日々だったが、小山さんの語り口には後悔のような響きはほとんどない。

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