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「日本企業は中国を無視しては生き残れない。どこまでもハイテク中国に食らいついていけ」と説く大前研一の真意

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歴史が証明しているとおり、独裁者は長期にわたって権力にしがみつく。ロシアのプーチンやトルコのエルドアン、アメリカのトランプを見ればわかるように、権力にしがみつこうとする指導者の判断には狂いが生じる。

かつての中国には、周恩来や朱鎔基、最近では李克強のような優れた知恵者がトップを支える構造があった。しかし習は実務派を徹底的に粛清し、自分の顔色をうかがうだけの福建閥の取り巻きで周囲を固めている。後継者とみられていた共青団(中国共産主義青年団)の胡春華らを降格させてしまった。

――トップを牽制する人がいない、つまりガバナンスが利かなくなっていると。

今の中国政府は組織として機能していない。習一人の頭の中にある、清朝時代の版図を回復するという帝国主義的な夢のために、国全体が動かされている。もはや近代国家のガバナンスではなく、前近代的な「一人帝国」への退化である。知恵者がいなくなった組織は、間違い始めると止まらない。世界が警戒すべき中国リスクの本質だ。

――だとすれば、脱中国は当然であるとの反論が来そうです。

話はそれほど単純ではない。政治・経済的なリスクを十分考慮しながら戦略を組み立てるのが政治家や企業経営者の役割だ。「排除」や「関与しない」だけでやっていけるほど、中国は小さな存在ではない。中国とどう向き合うか、真剣に考えることが必要だ。

不動産不況は対策打てぬまま悪化

大前研一(おおまえ・けんいち)/経営コンサルタント。1943年生まれ。米マサチューセッツ工科大学大学院で博士号(原子力工学)取得。日立製作所を経て、マッキンゼー日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任。ビジネス・ブレークスルー大学学長として日本の将来を担う人材の育成に力を注ぐ(撮影:今井康一)

――不動産の調整が引き金となり、中国の経済成長は鈍化しています。かつて日本が経験したバブル崩壊と重ねてみる向きもあります。

中国の不動産バブル崩壊は、かつて日本や欧米で起きたそれとは質的に異なる。中国の不動産不況は大都市ではなく、大都市郊外や地方に偏っている。もともと人の住んでいない地を開発しようとして焦げ付いてしまっているから対処がしにくく、解決は簡単ではない。

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