日本の鉄道と違う、欧州「低床車」独自進化の背景 「低いホームで乗り降りしやすく」長年の課題解決

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だが、近郊列車の低床化が進む中、高速列車を含む長距離列車の多くは現在もそうなっていない。

高速列車や長距離列車は国境をまたいで隣国へ乗り入れる車両が多いが、ヨーロッパと一口に言っても30以上の国や地域が存在し、規格はある程度同一ではあるものの、完全には統一されていない。ホームの高さもそうだ。

小さな田舎の無人駅を含めれば、ヨーロッパ全体で駅は数万カ所以上あるため、完全に規格を統一することは不可能だ。地域輸送に特化した近郊列車と違って、他国に乗り入れる高速列車や長距離列車は、乗り入れ先によってホームの高さがバラバラとなる可能性がある。

SBB RABe501
高速列車で唯一の低床構造を採用したRABe501型(撮影:橋爪智之)

ヨーロッパの事情が生んだ低床車

よって、低床化が難しく必要性も薄いため、高速列車の低床式車両はそれほど多くない。TGV-Duplexのように2階建ての副産物で低床となっている車両を除けば、時速250km以上で走行する高速列車の低床車は、シュタドラー製のスイスのRABe501型電車のみだ。

日立レール製の高速列車「フレッチャロッサ・ミッレ」やシーメンス製の「ヴェラロ」(ICE 3neo)はいずれも標準的な床の高さだ。最高時速230kmの客車を含めても、低床車はオーストリアの「レイルジェット」や「ナイトジェット」などにとどまる。

レイルジェット 新型客車
オーストリアの特急列車「レイルジェット」の新型客車。台車部分以外の床を低くした構造だ(撮影:橋爪智之)
【写真をもっと見る】ホームの低いヨーロッパでは幅広く活躍する「低床車」。1960年代に時代を先取りして登場したイタリアの客車、90年代以降の技術革新で続々登場した新型の近郊路線用電車や気動車、そして最新の特急車両まで、ヨーロッパの低床車両の数々

とはいえ、日本と比較してホームが低いヨーロッパにおいて、とりわけ都市近郊区間ではバリアフリー化のためにホーム高さの統一を進めている国や地域も多く、それに合わせた低床式車両の需要は今後も続いていくことになるだろう。

ホームの高い日本の鉄道にはない、ヨーロッパの鉄道ならではの課題を解決すべく進化を遂げてきたのが、これらの低床式車両と言えよう。

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橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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