実際に訪れると、外観は古く、西武時代の建物がそのまま残っていた。7階建ての建物で、家具フロアは4階まで。建物の巨大さとテナント規模が釣り合っていない。
大塚家具は春日部発祥の企業であり、本店を地元に構えること自体は自然な判断だ。しかし1985年のロビンソン開業時と同じ疑問が浮かぶ。これは、「市民が必要としているものなのか」だ。
たしかに、マイホームを購入した際に「良い家具」を揃える人は多いだろう。しかし家具は日常的に買い換える商品ではない。まして高級家具となると、頻繁に足を運ぶ業態とは言い難い。ロビンソン、西武百貨店、そして匠大塚と、同じ場所で同じ問いが40年間繰り返されているのだ。
2032年、高架完成後の春日部の未来
春日部駅の鉄道高架化事業は2019年に開始し、2032年の完成が予定されている。
2025年には、事業の進捗状況を報告する「高架化シンポジウム」が開催された。その参加者アンケートでは、高架化に期待することとして1位が渋滞緩和(36%)、2位が「東西自由通路」(33%)だった。
市民が高架化に求めているのは、駅前商業の再生よりもまず「物理的な分断の解消」だということがわかる。
2024年の市民意識調査でも、不満1位は「鉄道駅周辺の更新・再生」(44.4%)で、2016年から8年たっても中心市街地への不満は変わっていない。
一方で、街への愛着は75〜81%が「ある」と答え続けている。しかし自由記述には「帰ってきて寝るだけの町」という言葉も見受けられた。愛着の強さと、中心市街地への不満が併存している様子がうかがえる。
また、シンポジウムのアンケート自由記述にはこのような声もあった。
「駅が高架になってきれいになっても人が集まるかどうかはわからない」
「鉄道高架化するだけでにぎわいが創出できるわけではない。絶好のチャンスなので人口が増えるような政策をとってほしい」
高架化が完成すれば、長年東西を分断してきた境界線がようやく解消される。東口は初めて、西口とフラットな立ち位置に立つ。春日部駅の東西エリアが、初めて一体化するのだ。
しかし市民が求めているのは、踏切がなくなることだけではない。1986年、業界誌『販売革新』は、春日部の消費者が求めているものを「アジの開きの美味しいもの」と表現した。それは、身近で少し質の良いもの、そしてゆっくり過ごせる場所のことだった。その声は、40年後の今も変わっていない。
かつて春日部では、「GMSと競合しない業態」という理由で、百貨店の誘致が進められた。そしてそれは、市民から受け入れられきらず、閉店時もイトーヨーカドーほど悲しんでもらえなかった。
東西が一体化した後で、どんな施設が、どんな空間が提供されるのか。過去の失敗からちゃんと学べているのか……。再発展の契機となることを期待して、進捗を見守りたい。





















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