「本当に美味しいもの」をほとんどの人は区別できない…味より情報が店の評価を決める残酷な現実

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(写真:CHAI/PIXTA)
「美味しさ」は必ずしも正当に評価されない。実際、料理人の努力や品質以上に、消費者の味覚を左右するのは"情報"だ。テレビ、雑誌、SNS、口コミサイト──数多の情報が、「どれがより美味しいのか」という判断に影響を与えている。たい焼き屋の店主として、日々"味"と"情報"の間で葛藤する著者が語るのは、「もっと美味しいもの」を伝えることの難しさと、その情報発信こそが勝敗を分けるという現実である。『片手間PR術 取材が絶えない「商店街の小さなたいやき屋」の広報戦略』より一部を抜粋して紹介する。

人は美味しさを情報から感じる

食べ物を扱う仕事をしていると、人の行動はメディアから大きく影響を受けているとつくづく感じる。

食品や飲食店に関して言うなら、現在では不味いものや店はほとんどない。ずっと昔は、「なんだこれ」と思う食べ物や店もあったが、現在では、一般に売られている商品や店で食べられないほど不味いものに出会うことはほぼない。食べれば誰でも、美味しいものと不味いものを見分けることができるし、それがインターネット上の口コミなどで広まるから、不味い食品はすぐに売れなくなり、不味い店は潰れてしまうからだ。

ところが、現在でも「美味しいもの」と「もっと美味しいもの」を見分けられる人はほとんどいない。

僕はたいやき屋の店主なので、あんこの菓子については「美味しいお菓子」と「もっと美味しいお菓子」を見分けることができるつもりだ。でも、それ以外の分野だと、そこそこ美味しいものであれば満足してしまう。一流のシェフが作った食べ物が美味しいのは間違いないが、作っているのが一流のシェフでなくてもそれっぽい雰囲気で出されたら、美味しいと感じてしまうだろう。あんこ以外では、「もっと美味しいもの」を見分けることはできない自信がある!

だから僕が「もっと美味しい」と思っている飲食店は、テレビで見たり、雑誌で読んだり、口コミサイトの点数を見たりした結果、美味しいと思っているだけで、本当にそこまで美味しいかどうかは自信がない。

でも、情報に影響されていることを自覚している僕はまだマシな方だ。世の中の多くの人は、情報に踊らされている自覚がないまま、「もっと美味しいもの」だと自分で判断していると思っている。

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