東急「異彩作家のアートな電車」はなぜ生まれたか 沿線風景描いた作品をラッピング、起用の狙い
では、今回の取り組みはどのように始まったのか。話は2019年にさかのぼる。その年、東京急行電鉄は社名を東急に変更するとともに鉄軌道事業を分社化し、事業持株会社である東急の100%子会社として、鉄軌道事業専業会社である東急電鉄が誕生した。このときに「人へ、街へ、未来へ。」という東急電鉄のスローガンが作られた。
しかし2020年、社会に発信しようという矢先にコロナ禍が世界を襲い、タイミングを逸してしまった。それから数年が経ちコロナ禍も収束し、改めて社会に発信する機運が生まれた。単なるスローガンの告知であれば、有名タレントを起用するなどして大掛かりな宣伝を行えばいい。だが、その手法は「人へ、街へ、未来へ。」という世界観になじまない。
「方向性が一致」
2024年9月、東急が松田文登共同代表を招いて勉強会を開催した。今回のアートラッピング電車を担当した東急電鉄広報・マーケティング部の稲葉弘統括部長は松田氏の話を聞いて、ヘラルボニーのミッションと東急電鉄の目指す方向性が一致していると実感した。
「東急電鉄の沿線はどんな人にも寛容であって、どんな人にも優しくて、誰もが心通わすような沿線でありたい。言い方は悪いですが、変な目で見られたり、除外されたりすることのない社会。そこがヘラルボニーさんの理念と共通していることがわかりました」
ヘラルボニーも東急電鉄と組みたいと考えた。今回のラッピング電車でクリエイティブディレクターを務めた桑山知之さんが話す。「電車へのラッピングは多くの人の目に触れる機会。障害のある作家のアートを起用したということではなく、アート作品の奥底にある息遣いに触れてもらい、その作家さん、あるいは広く障害のある人へのリスペクトを生み出したい」。




















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