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物価高でもなぜ「一杯240円」で戦うのか?─うどんチェーン社長の逆張り経営論…「俺はお前の苦悩のうどんが食べたい」父の言葉が支える覚悟

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新しい業態が低価格を武器に登場し、成長していく。やがて企業が大きくなり安定期に入ると、少しずつ価格が上がっていく。すると今度は、その市場の一部を切り崩すように、さらに安い業態が現れる。これが繰り返され、輪のように回り続ける。それが「マクネアの小売の輪」だ。

「価格っていうのがやっぱり重要なんです」

社長がこの理論を意識するようになったのは、酒のディスカウント事業に携わっていた頃だった。かつて定価販売が当たり前だった酒の世界に、安売り店が登場し、市場を席巻した。やがてスーパーも安売りに参入し、酒だけを扱う店は厳しくなっていった。「5年も続かないと思っていた」と話す社長の考えは的中した。

小麦冶のかけうどん240円(写真:筆者撮影)

「座して死を待つのはごめんだ」…スーパー視察で見つけた突破口

小麦冶の前身は「黒田藩」という、うどん店だった。現在も「黒田藩」は、30席前後の店舗として小麦冶とは別業態で運営されている。35年ほど前、社長が昭和食品工業に入った当時、会社は苦境に立たされていた。

「事務所に来ても、みんな顔が鉛色みたいになってるんですよ。打つ手がない。どうしようかって」

当時、黒田藩で提供していたかけうどんは240円。今の小麦冶と同じ価格だが、お客さんは来なかった。原価率は30〜35%、飲食業界における一般的な価格で営業していた。売価を下げれば原価が上がり、利益は出なくなる。うどんを安くすることは、できない。その発想から抜け出せずにいた。

客は来ないし、最低賃金が上がり人件費は上昇。社内は沈んでいた。

「座して死を待つのはごめんだ」と語る社長は、ある日、価格調査のためにスーパー「サニー」を訪れた際、店長からこう言われた。

「自分たちからすると外食のひとたちは信じられないですよね。あんなに高い価格で、お客さんが来ないって言ってること自体、当たり前でしょって」

業界の常識にどっぷり浸かっていては気づけない視点だった。

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