AIは脅威ではなく、"生きがい"をもたらす? 茂木健一郎が示す「AIとお母さん」の意外な共通点

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何が正しくて、何が正しくないのか。その答えは誰にもわかりませんが、宮崎監督の主張も生きがいという観点でいえば大事なことだと僕は思います。

生きがいは子ども時代には欠かせないもので、大人になってもやはり持っていないといけないからです。

たとえば、先に安全基地の話をしましたが、生きがいを持って勉強している子どもが、あるときテストを受けてみたら偏差値が高かったり、将来やりたいことを見つけて勉強したりというのと、最初から偏差値を目標に勉強しているのでは生きがいがまったく違ってくるということです。

それは大人でも一緒で、上司に「〇〇君、この売上はいったいどうなっているんだ」と数字的なことばかり言われるよりも、好奇心に基づいて自分の仕事に対するやりがいや働きがいを感じていて、ふと気づいたら売上も利益も上がっているというのが理想なわけです。

人間の生きがいは、数値化して測れない

日本で成功しているビジネスモデルにせよアニメなどのコンテンツにせよ、長持ちしているものは、何か「目標」があってそこに寄せていったものではありません。

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つまり、生きがいのほうに舵取りしていった結果、長持ちする、持続可能なものになっているという考えが正しいのです。

経済学者チャールズ・グッドハートが唱えた「グッドハートの法則」というものがあります。あるパフォーマンスの指標は、その指標自体が目標になると、良い指標ではなくなるという法則です。

そもそも、生きがいは評価関数にとらわれない、非常に人間的な価値です。

AIは基本的に評価関数の最適化に基づいて動きますが、人間の生きがいは外部から数値化されるものではないということ。この“とらわれなさ”が、今後のAI時代における人間の脳の役割になるのではないかと僕は予想しているのです。

茂木 健一郎 脳科学者

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もぎ けんいちろう / Kenichiro Mogi

1962年生まれ。脳科学者。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院特任教授(共創研究室、Collective Intelligence Research Laboratory )。東京大学大学院客員教授(広域科学専攻)。屋久島おおぞら高校校長。『脳と仮想』(新潮社)で第四回小林秀雄賞、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第十二回桑原武夫学芸賞を受賞。著書に、『「ほら、あれだよ、あれ」がなくなる本(共著)』『最高の雑談力』(以上、徳間書店)『脳を活かす勉強法』(PHP 研究所)『最高の結果を引き出す質問力』(河出書房新社)ほか多数。

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