AIは脅威ではなく、"生きがい"をもたらす? 茂木健一郎が示す「AIとお母さん」の意外な共通点

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

では、僕たちが生きる現代における「超すぐやる脳」の安全基地とはいったい何なのか。スキルや経験や人脈? あるいは、個々の自信や価値観?

たしかに、こうしたものも安全基地になりそうですね。でも、僕が出した結論は、AIこそが生きがいを生み出す安全基地になり得るということです。

そのひとつにスマホがあります。なぜなら、スマホはいつ、どんなときでも何かがあったときでも僕たちを助けてくれる、もはや手放すことができないツールだからです。

そういう安心感があるからこそ、集中して仕事ができたり、行ったことのない場所にも出かけたりすることができる。そういう意味では、スマホは僕たちにとっての安全基地だといえるのです。

「数字」よりも大切なこと

レックス・フリードマンのポッドキャストに出演していたロマン・ヤンポルスキーというAI研究者が、AIがもたらす「生きがいリスク」について語っていました。

これからさらに進化するAIが人間にもたらす危険とは、人間の生きがいを奪ってしまうことだと警鐘を鳴らしたのです。

ひとつ象徴的な出来事として挙げたいのが、スタジオジブリの宮崎駿(はやお)監督の事例です。

これまで数々のヒット作品を生み出してきた宮崎監督の生きがいとは、言うまでもなくアニメ制作です。

2016年11月13日にNHKで放映されたドキュメンタリー『終わらない人 宮﨑駿』で短編アニメーション制作に取り組む宮崎監督の姿を追っていたのですが、ドワンゴ創業者の川上量生さんが宮崎監督に最新のAI技術を使った「人工生命」のデモを紹介したとき、宮崎監督の次の言葉で会議室が一瞬にして凍り付いたのです。

「極めて不愉快ですよね。何か生命に関する侮辱を感じます」

このシーンは英語圏でもよく引用されているのですが、「宮崎監督は生成AIを徹底的に拒否した」と話題になっているのです。

海外では、宮崎監督の仕事に向き合う姿勢が「生きがい」の象徴になっていて、AIがいまジブリ風の絵が描ける、しかもその精度も高いということに対して、宮崎さんは「そこに人間の本質はないんだ」ということをおっしゃっています。

次ページ生きがいは外部から数値化されるものではない
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事