発表会場には人型ロボット「IRON」がたたずみ、ガラス越しにはエアモビリティ「A868」の試作機が展示されている。さらに奥まったエリアにある研究施設では、巨大なGPUサーバー群が唸りをあげる。AIの湧現は、ここでは単なる概念ではなく、未来の風景そのものだ。
壮大な話をされても、未来の夢物語だと片付ける人も多いだろう。最初に断っておくと、シャオペン社製AI半導体「Turing(チューリング)」と名付けられたチップは2026年からフォルクスワーゲン向けに供給されて、次世代運転支援システムに採用される方針だ。現時点では NVIDIA製GPUを置き換える/競合する公式発表はされていないが、NVIDIAに依存しないAIスタックを志向している。
なお、フォルクスワーゲンは23年にシャオペンに約7億ドルの投資をし、4.99%の株式を取得している。中国版ギガキャストを採用した「G9」のEVプラットフォーム、AIチップ「Turing」をフォルクスワーゲンの中国国内向けEVに導入する方針を発表した。フォルクスワーゲンは中国市場でのEV競争力の強化、シャオペンは自社技術の世界的な展開を狙う。
6万5000年ぶんを5日で学ぶAI
今回の最大の驚きは、第2世代VLA(Vision-Language-Action Models)/VBAによる“フィジカルAI”の能力だった。1億本の映像データ、6万5000年分の運転シナリオに相当、3万枚のGPUカードで計算、トレーニングに必要なのはわずか5日と、代表的な数字を挙げただけでも、もはや「データ量」を測る数字を通り越し、文明を表すようなスケールになっている。
「我々は“人間に説明できるAI”ではなく、“現実世界を理解するAI”を作っている。運転中に起こりうる危険を“先読み”し、自ら学んで回避する能力が湧現した」と、何CEOは語る。

