「最低限のことをやれば問題なくない?」 ジワジワ増殖中《静かに退職している社員》会社が賃金を下げられないワケ
裁判例では、人事考課による賃金減額について、職務内容などの変更がないのに複数回の減額が行われ、結果として月額賃金が当初に比べて29%減額されていた事案で、当初賃金の10%を超える部分は権限濫用として無効とされた事例があります(マーベラス事件・東京地裁令和4年(2022年)2月28日判決)。
整理解雇の場面では考慮要素となる
企業が経営上の理由で人員削減を行う整理解雇の場面では、状況が変わってきます。整理解雇の有効性は、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続きの妥当性という4つの要素を総合的に考慮して判断されます。
「人選の合理性」において、最低限の業務はこなしていても積極的な貢献が少ない人が候補になりやすいのは、一定程度やむを得ない側面があります。ただし、客観的・合理的な基準であること、基準が事前に明確化されていること、恣意的な適用でないことが求められ、「意欲がない」といった主観的・抽象的な基準のみでは不十分です。
「静かな退職をしているから解雇できる」という単純な話ではなく、経営上の必要性の中で評価要素の一つとして考慮されるにとどまります。
「ベンチャー企業の法務AtoZ - 起業からIPOまで」(後藤勝也、林賢治、雨宮美季、増渕勇一郎、池田宣大、長尾卓/中央経済社、2016年10月)
「実務家のための労働判例読本 2023年版」(芦原一郎/経営書院(産労総合研究所)、2023年5月)
「多様な働き方の実務必携Q&A - 同一労働同一賃金など新時代の労務管理」(三上安雄、緒方彰人、増田陳彦、安倍嘉一、吉永大樹/民事法研究会、2021年4月)
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)
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