トランプ政権の「貪狼(ドンロー)主義」には「アメリカ史のDNA」が脈々と流れている

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ベネズエラ攻撃を発表したトランプ大統領。「アメリカは変わったのではなく、先祖返りをしている」とみたほうがよさそうだ(写真:UPI/アフロ)

2026年は「米軍がベネズエラに侵攻して、ニコラス・マドゥロ大統領を連れ去る」という衝撃的な事件で幕を開けた。ほんの少し前までは「世界の警察官」であり、国際ルールの守護神であったアメリカが、自国の利益を最優先にして行動することを鮮明にしたのである。

マドゥロ大統領連行は、あくまで「米国内法の執行」

しかも、軍事的成功は水際立ったものであった。首都を空爆し、数時間で初期の目標を達成してしまい、なおかつ米軍の犠牲はゼロである。これに比べれば、「ほんの1週間で終わる」と思って始めたウクライナ侵攻が、間もなく4年目を迎えるロシアは何と無様(ぶざま)なことであろうか。こんな軍事パワーを持つ国が、「貪狼」(ドンロー)となって好き勝手なことを始めようものなら、誰も止められないことになってしまう。

「これは軍事作戦ではなく、法の執行(Law Enforcement)である」。マルコ・ルビオ国務長官はそう説明する。まるでマジックのような話だが、アメリカの司法制度においては「ケル=フリスビー法理」なるものが確立されていて、国内で訴えが出ている被告人がいかなる経緯で連れてこられようが、その後の裁判の有効性を妨げることはない、とされている。米検察当局は、あらかじめマドゥロ氏を麻薬密輸組織の首謀者として起訴しており、それがいわば「伏線」になっていた。

ゆえに今回のマドゥロ大統領は、1989年に起きたパナマのマヌエル・ノリエガ将軍のケースと同じ扱いになる。あのときは「ブッシュ父」政権が、麻薬問題を理由に国際法を無視してパナマの独裁者を一方的に連れ去り、国内法で処罰してしまった。同年の天安門事件(6月4日)とベルリンの壁崩壊(11月9日)と同じ、日本の元号では平成元年に起きた事件だが、多くの人にとっては忘却の彼方かもしれない。

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