違う場所に移る必然性はどこにもなく、私やミカン周辺の友人は皆、彼女の移住願望を本気には捉えていませんでした。
そんな彼女が昨年、都内で開催された移住フェアで東広島移住体験ツアーに申し込みをし、瀬戸内海の小さな島で数日間を過ごしました。
島の特産物であるみかんやレモンの収穫体験をし、古民家を見て回り、すぐそばに海や緑があるという環境を味わって帰京してきたミカンは、興奮気味に「やっぱり自然の中で暮らすって最高! 移住したい気持ちが高まった」と話していました。
そして今年、縁あって出会った人からなんと電気・ガス・水道代だけで家を借りられることになり、
「とりあえず、住んでみることにした」
と、この冬、島に渡っていきました。
佐木島(さぎしま)という名のその小さな島は、広島県三原市にあります。新幹線こだまが停まる三原駅から程近い三原港から、高速船で15分ほど。都会からのアクセスに非常に便利な島です。
都内で夫婦2人暮らしだったミカンが、一転、離島の古民家で1人暮らしへ。
正直なところ、ミカンのダンナさんの理解を得られるとも、好条件で簡単に家が見つかるとも思っていなかったので、ミカンが移住実現への一歩を確実に歩み出したことは意外で、驚きでもありました。
「部屋の掃除とか、畑の手伝いとか、やることいっぱいある!」
どんどんアクティブになっていく
到着するなり、爆発的に元気にアクティブになっていくミカン。
東京では毎日のように近所の飲み屋で飲んだくれていたのに、島の生活になってからは、きっちり休肝日も設けているそうです。飲み屋らしい飲み屋が1軒もないことも理由の1つかもしれませんが、「忙しくて疲れ果てて、飲まないまま気づいたら寝ていた」という日が自然とあるようです。
そんなミカンの新生活を見に、私と、もう1人の同年代の女友だちMとで、佐木島に行ってみることにしました。
仕事の都合もあり、三原駅に着いたのは19時半頃。でも、次の船の出航時刻は20時52分でした。私とMはまず港の場所を確認しに行き、周辺にあった居酒屋で時間を潰しました。
「お腹空いてるけど、あんまり食べたら夕飯入らなくなるよ」
「そうだね。今日は手作りご飯が待ってるもんね」



















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