【独自】ニデック、「永守イズム」が生み出した看過できないひずみ、旧日本電産サーボ、旧エンブラコ・ブラジルでいったい何が起きていたのか
「会長に怒られないような報告を上げるため、二重、三重に帳簿をつけながら毎日のように『借金』へ対応に追われていた。その作業は土日や祝日にも及ぶ。でも、ヨーロッパの労働法規が厳しい国では現地社員を付き合わせるわけにはいかない。日本人駐在員が『これぐらいかな』と鉛筆をなめなめ数字をいじりながら本社に業績を報告していた」
「違算」の背景に広がる闇
日本電産には「違算(いさん)」という社内用語があった。本社とグループ会社間で取引の時期をずらして売り上げなどを計上する手法が使われたため、本社とグループ会社それぞれで計上する数字にズレが出てくる。このズレを「違算」と呼んでいたのだ。財務担当者は毎期のように「違算」の解明に四苦八苦していたという。
それだけではない。冒頭とは別の元幹部は「機械の減価償却期間を延ばしたり建設仮勘定を使って労務費や研究開発費を資産計上したりする手法が取られていた」と証言する。これらは直ちに「不適切」「粉飾」とはいえないが、当時の日本電産本社、グループ会社では根拠不明の怪しげな数字が飛び交っていたことは間違いないようだ。
ニデックが今回公表したように、恣意性のあるグレーな手法が本社の各事業本部や国内外のグループ会社に定着していた可能性がある。
筆者の手元には、永守氏自身が不適切と認識した、あるいは会社として不適切と断定した会計・経理処理がグループ内で広く行われていたことを裏付ける内部資料がある。
22年の春先、ブラジルの子会社、旧エンブラコ・ブラジル(現ニデックグローバル・アプライアンス・コンプレッサー・ブラジル)で「不適切会計」が匿名の内部通報によって発覚した。
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