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科学的思考への問い。世界は本当にそんなに単純なのか?/ホワイトヘッド『科学と近代世界』を読む(上)

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ホワイトヘッド『科学と近代世界』上田泰治、村上至孝 訳/中公クラシックス

20世紀最大の哲学者といえば、英米ではウィトゲンシュタイン、大陸ヨーロッパではハイデガーというのが通り相場だ。でも、知名度こそ2人に劣るが、スケールの大きさでは彼らに勝るとも劣らないと思しき哲学者がいる。それがアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドである。

本書のキーワード

ビジネスに効く名著のエッセンスを識者がコンパクトに解説する。【原則土曜日更新】

ちょうど100年前の1925年に出版された『科学と近代世界』を読むと、その知的胃袋のばかでかさに驚かされる。古代ギリシャの自然哲学、スコラ神学から、デカルト、ニュートン、ロマン派詩人、相対性理論や量子論といった当時最先端の物理学まで、とにかく何でものみ込む。そしてまるで長い地層の断面を指でなぞるように、近代世界の基底に走る思考の特質を丹念に描き出していく。

本書のキーワードとして示されるのが「具体者取り違いの誤謬」だ。これは抽象操作を経由して得られた概念──例えば原子や分子からなる物質や物体──を、あたかも現実そのもの、つまり“もっとも具体的なもの”であるかのように扱ってしまう認識の転倒のことをいう。

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【17世紀以来の科学的思考が極めて強力であったのは…】

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