
「グッド・アクション」反響の理由は、
リクナビNEXTだから?
―― 今年の2月に行われた、第1回「グッド・アクション」開催後の反響はいかがでしたか。
細野 多くの反響をいただいたことで、あらためて社会に求められていた企画だったと実感しています。よくテレビで“お宅拝見”の企画がありますが、その会社版に近いのかなと分析しています。他人の家の中を見る機会が少ないのと同様、他社の職場って、普段あまり見る機会がないですよね。
株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT編集長
リクナビNEXTのシステム開発、営業販促、新規事業開発を経て現職。日本e-learning大賞2012にて経済産業大臣賞も受賞。プライベートでは音楽コラボアプリ「nana」のサービス開発にも携わる。
だからこそ、いざ知る機会があれば、家のインテリアならそのレイアウト、会社なら内部の仕組みに注目が集まるんだと思います。
会社という容れ物の中で、制度や環境を含め、どんなおもしろいことをしているか、みなさん興味があるでしょう。さらに、その環境を整える経営者や人事サイドも関心を引くコンテンツになったことも大きいのではないでしょうか。
鈴木 他社のスタンスや、働きかたにみなさん関心は高いだろうと思っていました。第1回の「グッド・アクション」は多くのメディアに取り上げていただき、予想のとおり注目度は高かったです。想定を大きく超えた部分でいえば、受賞された企業からの反応の大きさでしょうか。
たとえば、ソーシャルメディアやプレスリリースでの受賞の発信など、「グッド・アクション」受賞を栄誉なこととしてPRのコンテンツにしていただきました。また、昨年の入賞企業をはじめ、残念ながら審査を通過できなかった企業が今年も再びエントリーしてくださって、早くもイベントのリピーターができていることも、2回目の特徴です。とてもうれしいことです。
株式会社リクルートキャリア
コーポレート統括部広報部 社外広報グループ グッド・アクションを立ちあげた発起人。来年2月の表彰式に向けめまぐるしく動く元気印。
―― 転職情報サイトである「リクナビNEXT」は人材の流動を後押しする面をお持ちです。なぜ、その御社が、今ある会社のシステムや会社にいる人にフォーカスするイベントを企画されたのでしょうか。
細野 「リクナビNEXT」の立ち位置は、企業様にとっての事業支援パートナー。事業が成長するためのお手伝いを人材面でサポートするのがミッションです。
だからこそ、新たに転職者が入社しても、その会社に合わずにすぐに辞めてしまうことはできるだけ避けたいと考えています。本来の目的は、入社した方がその会社で活躍し、それによって会社が成長することで、再び人材が必要になるサイクルを目指すということですね。
鈴木 そうですね、そもそもは、もっと深い部分で企業やそこで働く人に貢献できるかたちはないだろうか?と考えたのが企画の発端でした。いきいきと働けるシステムを作っている企業を支援していきたいというのが、企画の趣旨なんです。
―― 「グッド・アクション」を企画・担当された経緯は、鈴木さんの実体験からと聞きました。

鈴木 そうなのです。以前勤めていた企業が長時間労働が多い会社で、社員からの不平・不満が増えてしまっていました。中途採用をするのですが、優秀な人が入ってもすぐに辞めてしまい、全然定着しなくて。
そこで、管理部門にいたわけではないのですが、現場の私から率先して会社の雰囲気を変えるための委員会を立ち上げることにしたのです。
―― パワフルですね!具体的には?
鈴木 たとえば、残業が多くて出社が遅くなり、また残業するという悪いサイクルになっていたので、会社から費用を出してもらい、朝食会を開いたこともありました。また、せっかく中途で社員が入社しても、どんな人なのか知らないまま辞めてしまうことが多々ありました。そこで、前職のキャリアと、今の会社でやりたいことを発表してもらう場を設けたこともありました。
2年ぐらい続けたでしょうか。そうした取り組みを評価してくれるアワードがあったら嬉しいなという思いもあって、企画した経緯があるんです。
だから、「グッド・アクション」では、人事や総務の方はもちろんですが、現場の生の声を大事にするというコンセプトを核に置いています。

細野 鈴木は、入社2カ月目にして、このイベントを企画・進行した張本人です。実は私、なぜ「グッド人事制度」というタイトルじゃないんだろうかと、疑問に思っていたんですよ。でも、今の話で、現場主義を主眼に置いているからグッド・「アクション」なんだということがあらためて理解できました(笑)。実は、このグッド・アクション発足の前に、もうひとつの「グッド・アクション」があったわけです。
鈴木 過去の自分を投影して生まれた企画でした(笑)。でも、いざイベントを実行することになったとき、成功するかどうかは未知数なのに、当時の直属のマネジャーが「おもしろいんじゃない」と、後押ししてくれ、その土壌が弊社にあったことは、本当に感謝しています。
今年のエントリー企業の傾向は?
―― さて、来年2月に表彰式が予定されているグッド・アクションの第2回ですが、まさに今、審査の真っただ中ですよね。今年の応募傾向はいかがですか。
鈴木 「現場活性化部門」への応募が多かったですね。理由としては、おそらく、いろんな働き方が広がっている中、社内でよりよいコミュニケーションをいかに広げていくかということに、本気で取り組む企業が増えているからではないでしょうか。現場も人事もそういう課題を持っているようですし。企業側の真剣さや改善意欲を感じています。
細野 今回は全体的に、施策の質が高いエントリーが多かった印象を受けますね。表面的な施策ではなく、しっかりと骨太というか、深い部分まで考えて作られたものだと感じる企業が増えたと思います。
鈴木 昨年受賞されたRettyさんの「ランチ自転車」のように、一見、簡単そうな施策のように見えて、実は、企業カルチャーを軸に考えられた施策も増えていますね。根幹から仕組みとしてとらえることで、しっかり根づいて継続していくと、石川善樹先生もおっしゃって(連載#2)いましたが、正にそういった内容のものが多い印象です。

応募取り組みのなかから、
興味深い取り組みを先行紹介!
細野編集長によると、今年の応募取り組みの内容は非常に中身が濃いという。ここでは結果発表を前に、少しだけその情報を紹介。

細野 インパクトがありました。全国展開のメガネチェーン店なのですが、全社員を上げて、エリアマネージャーを選挙で選ぶという民主主義的かつ大胆な取り組みには驚きましたね(笑)。「このリーダーについていきたい」と思う人に部下がついて行ける画期的な制度ですが、なぜ今までこの制度を取り入れた企業がなかったのか? と逆説的に思ってしまう力強さがありました。
鈴木 実際にオンデーズさんにお話を伺ってきたのですが、立候補する管理職の人は、みんなに選ばれるように、部下となるべくコミュニケーションをとるなど、さまざまな努力をするそうです。上司としての意識が高まる気がしました。結果、離職率30%が当たり前の販売営業職にあって、なんと「5%」まで落とした実績はすごいと思います。そもそもは、非常に高い離職率への対策という、会社の危機意識から生まれた切実な取り組みだったようです。
細野 会社の本気の危機意識が芽生えたときこそ、イノベーションが生まれますよね。

鈴木 私も実際に働いている女性ドライバーにお話を伺ってみて、印象的でした。時代をさかのぼって、かつて女性が活躍し始めた時代のような、初々しさを感じましたね。あらためて同性として、女性が職場で活躍するとは、一体どんなことなのか? という初心の問いにたち返らせてもらった気がします。
細野 タクシー会社の国際自動車の試みですね。女性ドライバーを上手に組織に組み込んだ成功事例です。ご存知のとおり、タクシードライバーは男性が多い業界ですよね。求人広告でいえば、採用ターゲットとして女性の働き手にまで拡大する取り組みは、過去、繰り返し各社が試みています。
ただ、女性が入社しても、定着せずに終わってしまうということを繰り返しているのが実情だと思うんです。根本的な原因は、求人広告を変えたり、ターゲットを変えたりしても、人材を求める企業側が何も変わっていないこと。国際自動車の場合、そうしたことに気づいた上で、女性ドライバーが定着するための施策を立てています。

細野 社員のストレス軽減を検証するために、東京から北海道・旭川に1週間、社員を交互に行かせる取り組みなのですが、一石三鳥を狙ったすばらしい取り組みだと思いました。この手の取り組みは、ひとつの施策に対して、ひとつのメリットだけではなかなか定着しないケースが多いと思うんです。
サイバートラストの場合、科学的なメンタルケアはもちろん、わざわざ東京から北海道へ行くことで、非日常を味わえる社員旅行としての役割、さらに、担当者がいなくても、仕事が効率的に機能する業務のリスクヘッジの仕組みを作っているのではないかと推測します。また、それによって、個々の責務が本当の意味で軽減されて、社員が心ゆくまでケアに集中できるという側面もあるのではないでしょうか。

審査はまもなく終了
表彰式は年明け2月!
―― 来年2月9日、第2回の「グッド・アクション2015」の表彰式が開催されます。どのような結果が生まれると予想されますか。また、次回の注目ポイントについてお聞かせください。
鈴木 最終的な結果は、審査員のみなさんの議論によって決まるので、まだ見えないのが正直なところです。ただ、表彰式については、現場の声がちゃんと伝わるような仕立てで開催したいと考えています。審査上、採点方式のため、まだ改善の余地がある部分にも目がいってしまいがちなんです。でも、なるべくポジティブな部分を探していければと考えています。根底にあるのは、イベントを通じて、素敵な取り組みでがんばっている企業を広く知っていただきたいということ。そのマインドを忘れることなく、多くの働く人たちに興味をもっていただけるイベントになればと考えています。
細野 第2回は、前回以上に各企業の取り組みの良さについて、なるべく多くのポイントを解説していきたいと考えています。特に、同じ課題を抱える人事担当者の方には、イベントで発表された事例をもって、経営者に伝えられるような骨太な内容も多くありますので、ぜひソースとして使っていただけたら幸いです。
第2回の「グッド・アクション」は、今後、受賞企業の審査決定を経て、そして来年2月9日の表彰式を待つのみとなった。次回、連載#4での受賞結果レポートについては、乞うご期待!
