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こんな会社、うらやましい。
職場を元気にするグッド・アクション!

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 昨年、日本の生産年齢人口が32年ぶりに8000万人を割った。労働力不足が深刻化する中でいかに人材を確保するか。政府を主導とした動きはもちろん、各企業においても女性やシニアの活躍など、働き方の多様性ーいわゆるダイバーシティに関する議論が本格化している。こうした流れを受け、リクナビNEXTでは自由な発想で自分たちの働く環境を整え、やりがいを高めていく企業独自の取り組みを発掘していくプロジェクト「グッド・アクション」を発足。2014年に寄せられた全71の取り組みの中から5つの部門で表彰を行った。
 今回受賞したのはどれもがユニークかつチャレンジ性に富んだ取り組み。きっとあなたの会社でも、職場を元気にするためのヒントになるはずだ。

なるほど!な企業の取り組みが表彰された

グッド・アクションでは、地域貢献・社内コミュニケーション・中途入社後の活躍促進・女性活躍促進・特別賞の5部門で取り組みを紹介、表彰した。

ここでは部門賞に選ばれた2つの取り組みを、審査委員のコメントとあわせて紹介してみたい。

〈地域貢献部門〉Sansan株式会社

地域貢献部門で大賞に輝いたのはクラウド名刺管理サービスを手がけるSansan株式会社。「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」を企業理念に掲げる同社では、既成概念にとらわれない「新しい働き方」を模索し様々な取り組みを行っている。そのひとつとして生まれたのが、徳島県神山町の古民家を改修して作られたサテライトオフィス「神山ラボ」だ。

徳島市内から車でおよそ1時間。決して便利とは言えないこの地をオフィスに選んだ理由、それはエンジニアの生産性向上のためであった。同社代表取締役社長の寺田親弘氏は前職のシリコンバレー駐在時代、自然豊かな環境で開発者がクリエイティビティを発揮し新しいサービスを生み出す環境を目の当たりにしていた。Sansanでもエンジニアのために、静かに作業に没頭できる環境を作ってあげたい。そう考えていた折に神山で地域活性化に取り組むNPO法人と出会い「神山ラボ」の設立に至ったのだという。

Sansanの神山進出は、町にも大きな効用をもたらすこととなった。同社の取り組みを参考にして神山町へ拠点を設ける企業が続出したのだ。かつては地元に仕事がなく、卒業したら町を離れることを当然と思っていた子どもたち。だがSansanのように神山をあえて拠点に選び、楽しそうに働くエンジニアの噂を聞いて、今では彼らの半数近くが「将来は地元で働きたい」と答えるようになった。Sansanでは今後も継続して、徳島での現地採用に力を入れていくという。

神戸大学大学院教授の金井壽宏氏はSansanの取り組みを次のように評価する。「最新のテクノロジーを駆使することで、場所に縛られず生産性を高めることに成功。また彼らの進出が過疎地の地域活性化にもつながり、コミュニティ再構築のきっかけになったのは賞賛すべきことです。神山ラボをひとつのモデルケースとして、今後このような動きが全国へと広がることを期待しています」。

金井壽宏
神戸大学大学院経営学研究科教授。変革型リーダーシップ、次期経営幹部の育成等を研究テーマとしている。

 

〈中途入社後の活躍促進部門〉Retty株式会社

中途入社後の活躍促進部門で大賞に選出されたのは日本最大級の実名型グルメサービスを手がけるRetty株式会社。「食を通じて世界中の人々をHappyに」をモットーに急成長を続ける同社では、中途入社として新たに加わるメンバーも多い。そこで彼らとのコミュニケーションを促進するために導入されたのが「ランチ自転車」制度だ。

制度の内容は至ってシンプル。昼食の時間になると会社の保有する10台の自転車に乗って、その日の気分に合わせて行ってみたい飲食店を訪ねるというものだ。ポイントは「誰と食べたいか」ではなく「何を食べたいか」によってチームを決めること。食べたいものでチーム分けを行うため、毎回異なるメンバーと親睦を深めることができるのだという。

社員・インターン合わせて50人のスタッフを抱える同社。CFO・人事統括を担当する奥田健太氏は「事業が成長し組織が拡大していく中で、Rettyらしいカルチャーを失わないようにしたかった」と語る。同業他社での経験を積んで中途入社してきたメンバーが多いが、彼ら全員に共通するのが「食に対するこだわりが強い」という点。そこで新しいメンバーとも食を共通の話題にして仲良くなり、お互いを知って尊敬し合うような関係性を作っていこうとこの制度を立ち上げた。「Rettyが日々行っているのは飲食店の良さをシェアするサイト作りです。Rettyらしいカルチャーとは、お互いの良さを認め合ってシェアすること。ランチ自転車もそうした精神を反映したものです」(奥田氏)。

リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫氏はRettyの取り組みを次のように評価する。「自分が知っていることについて語り、周囲から承認されてそれが居心地の良さにつながる。こうした中途入社の大事なプロセスが、ランチというRettyらしいやり方で上手く機能している。中途入社した社員の定着率に悩む多くの企業にとって、彼らの取り組みは非常に参考になると思います」。

大久保幸夫
株式会社リクルートホールディングス専門役員、リクルートワークス研究所所長。2010~2012年内閣府参与。専門は人材マネジメント、労働政策、キャリア論。

今回のアワードは、全国から71の取り組みが応募され、その中から5部門、12社を表彰した。次ページでは、審査委員のお一人である一橋大学大学院教授守島基博氏に、この「グッド・アクション」というプロジェクトがなぜ多数の参加企業に注目され、重要であったかを解説していただく。 

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