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第2回グッド・アクション表彰式に
日本企業の活力を見た リクナビNEXT

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
2030年には、人口の3分の1が65歳以上と言われている日本社会。人口推移に比例し、国内の働き手の不足が予測されるなか、企業側には多様な働き方ができる環境が求められている。こうした流れを受け、昨年に引き続き「働きやすい」「会社が楽しい」「士気が上がる」といった会社の取り組みを発掘するリクナビNEXT主催のプロジェクト「グッド・アクション」の受賞取り組みが発表された。
2回目となる今年の「グッド・アクション」では、現場の声を施策化したものはもちろん、それが売上げや業績にも結びつくケースも多く、企業の人事関係者のみならず、各方面から注目を集めるものとなった。

 

事例ほど勇気づけられ刺激を得るものはない
〜リクナビNEXT編集長 細野〜

2月、都内。第2回グッド・アクション表彰式が行われた。先述のとおり、各方面から注目されるこのイベントは、好評のうちに幕を閉じた。主催者で審査員のリクナビNEXT編集長細野氏はこう評価する。

細野真悟 株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT編集長 リクナビNEXTのシステム開発、営業販促、新規事業開発を経て現職。日本e-learning大賞2012にて経済産業大臣賞を受賞。

「前回同様、現場主導の企画が多かったことに加えて、今回は、より高度に練られた取り組みが増えた印象です。総体的によく仕組み化されていて、さらに結果もともなった取り組みに注目が集まり『ベスト・アクション』に選ばれた例が多かったように思います」 独自性はもちろんのこと、複数の結果をともなう取り組みがポイントだということだ。

「単発の取り組みだけで結果に結びつかないと、中途半端に終わり、継続が難しいと思うんです。会社と社員の目的が統合的に実現できているからこそ続くし、定着するのではないでしょうか」(細野)

今回の「グッド・アクション」の募集項目は、「現場活性化」「キャリア採用・活躍促進」「女性活躍促進」「ウェルネス」の4部門。多数の応募の中からチャレンジ性や独自性を重視して審査が行われた。ここでは「グッド・アクション」として表彰された15の取り組みの中から、より紹介したいものとして「ベスト・アクション」を受賞した5つの取り組みを審査員のコメントもまじえて紹介したい。

<女性活躍促進部門>
国際自動車株式会社

一つ目が、タクシー会社の「国際自動車株式会社」だ。

どんな内容?|タクシードライバーといえばいまだ男社会の印象が強く、業界の女性ドライバーの比率は、わずか1%だという。しかし、実際の乗客の男女比率は半々。同社は、「女性社員1000名採用」を目標に掲げ、10名ほどしかなかった採用数を2013〜2015年には、126名に増員。
女性社員のための座談会や、ビジネスメイク講座を定期的に実施するほか、女性用の仮眠施設やトイレを新設するなど、女性ドライバーが働きやすい環境づくりも推進。現在、同社では約300名の女性ドライバーが活躍。乗客への安心感や女性目線での細やかな気配りが受け、評判も上々だという。
 

昨年に続いて審査を担当したアキレス美知子氏。人事・人材開発の最前線にいるプロフェッショナルの目にはこう映った。

アキレス美知子 SAPジャパン株式会社 常務執行役員人事本部長、NPO法人GEWEL副代表。富士ゼロックス総合教育研究所で異文化コミュニケーションのコンサルタントを始め、シティバンク銀行、モルガンスタンレー証券、メリルリンチ証券、住友スリーエムなどで人事・人材開発の要職を歴任。あおぞら銀行常務執行役員人事担当、資生堂執行役員広報、CSR、環境企画、お客さまセンター、風土改革担当を経て、現在に至る。

「国際自動車は『男性社会での挑戦』というより、そもそもデータ的に見ても、女性のタクシードライバーの方がお客さんの評価も売り上げも高かったことに注目。なぜなら、顧客の半分は女性。タクシードライバーは、密室で接客をしながら目的地までお送りする仕事です。心配りのできる女性にこそ向いていることに、経営陣が気づいたわけです。女性の採用を増やしたのは自然の流れで、ビジネス的にも納得できる話。さらに、女性やお年寄りが安心して利用できる、女性ドライバーによる『Re:laxi』というサービスにもつながったのだと思います。この例で学べることは、物事を一旦横においてゼロベースで考えること。たとえば、男性優位の職場であっても、もしかしたら女性の方が活躍できる分野ではないか、一度点検してみる価値はあると思います」

<現場活性化部門>
株式会社オンデーズ

全国展開するメガネチェーン店「オンデーズ」が実施したのは、これまでの人事制度の常識をくつがえす「エリアマネージャー解散総選挙」だ。

どんな内容?|かつて離職率が50%を超えるという危機的事態にあり、その改革策として導入されたこの取り組み。全社員の投票により、公平にエリアマネージャー(部長職)を選出するものだ。年齢や社歴に関係なく全社員がエリアマネージャーに立候補でき、マニフェストやポスターが作られ、SNSを活用して選挙活動が行われる。
 

職場の上司を部下が選ぶという異例の取り組みにより、初の選挙では、25歳の女性エリアマネージャーが誕生した。誰にでも昇進のチャンスがある社風に魅力を感じて、入社する社員が増え、離職率は50%の10分の1となる5%と、過去最低値にまで減少。7年連続で業績拡大にも結びついているという。

<現場活性化部門>
NTTコミュニケーションズ株式会社

「ていねいに働く人と向き合う」という、基本的な人事のスタンスでベテラン社員のさらなる活躍につなげたのが、NTTコミュニケーションズだ。

どんな内容?|同社の平均年齢は43歳で、10年後には50代以上が半数を占めるようになる。1999年のNTT分社化で誕生した同社では、ベテラン社員の底上げが人事の課題となっていた。
そこで、専任担当者が50代の社員を対象に、キャリアデザイン研修や面談を実施。1人で500人の50代の非管理職とその上長と面談を行い、社員の本音を引き出すことに成功した。結果、50代社員の部下を持つ上司の約8割が部下の変化を感知。実際に、新技術分野の案件に積極的に参加したり、若手向けの勉強会を開いたりするベテラン社員が増え、現場活性化につながっている。
 

審査委員を務めた一橋大学大学院の守島教授のお言葉を借りれば、この取り組みは人事の面から言えばとても興味深い事例とのことだ。本来、もっと輝けるであろう世代に、一人ひとりにアプローチを重ねるという地道な努力もあって、文字通り活性化につながった好例だ。

<現場活性化部門>
株式会社ロックオン

年に1度、年末年始やお盆休みとは別に、9日間の休暇を義務づける「山ごもり休暇制度」を実施しているのが、eコマースやインターネット広告関連ソフトの企画開発を手がける株式会社ロックオンだ。

どんな内容?|対象者は、社長含む社員全員で、休暇中、メールや電話などの仕事の連絡はいっさい禁止。さらに、社員が不在でも業務がスムーズに進むよう、社員全員の業務一覧やマニュアルを作成し、休暇体制を整えている。
心おきなく仕事から切り替えて休暇を楽しめるようになったことで、社員のモチベーションアップや業務の効率化が実現した流れは理想的だ。
また、長期休暇後の社員による発表の場も設けられているため、発見や感動を共有し、社員それぞれの自己プレゼンテーションの場にもなっている。
 

細野編集長は、こう評価する。「ただ単に休暇制度を作るだけでなく、連絡できないというところまで徹底し、さらに、各社員の負担の軽減も狙っています。休暇明けの社員に、どんな過ごし方をしたか発表してもらうことで、自ずと休日を有意義に過ごすことにもつながります。発表の場で、社員同士の意外な一面を見たり、和んだりするシーンも目に浮かんできますよね。こうしたシンプルな仕組みの中に、その効用が一石『多』鳥として実現できていることがすばらしいと思いました」

<現場活性化部門>
株式会社エストコーポレーション

社員のやりたい仕事と、経営陣がやってほしい任務はかならずしも合致するわけではない。そのマッチングを円滑にし、社員のモチベーションを上げることに成功したのが、医療・福祉関連サービスを提供する株式会社エストコーポレーション。

どんな内容?|部長や経営陣から出される任務(クエスト)に対し、社員個人やチームが自由に手を挙げて挑戦し、報酬を得られる「クエスト制度」だ。
事業部ごとに掲示板に人気海賊漫画の手配書を模した任務(クエスト)の募集が掲示され、社員は挑戦したい任務にチャレンジできる。さらに、達成ごとにポイントが付与され、1ポイント1円に換金できるほか用意された、80万点の景品と交換できる仕組みだ。
自分のやりたい仕事を自らつかんで達成するのが当たり前となっていて、現場に活気がみなぎっている。

 

以上の5つがベスト・アクションとして表彰された取り組みだが、前出のアキレス美知子氏は、この第2回表彰には、ある特徴が見いだせたという。

「コミュニケーションの仕方にテコ入れした例が多かったですね。コミュニケーションのあり方が過渡期にあるんです。日本企業はひと昔前まで、部下を叱ったあと、飲みに行ってフォローするということをしてきました。最近、特に若い世代はSNSなどのテクノロジーを使いこなす反面、リアルのコミュニケーションが十分になされていないケースが増えています。

グローバル企業の大半は、さまざまなツールを駆使しながら、よりフレンドリーに社員と接するにはどうすればいいか?ということを模索し始めている時代。日本の企業も今後はそうしたツールをいかに使いこなすかということがテーマになるでしょう」

グッド・アクションは2回目にして、内容に広がりが生まれている。細野編集長は「グッド・アクションを開催するメリットは、『何が』実を結ぶのかを開示できること」と説明する。事実、表彰式の場では受賞企業同士、どのように取り組みを推進したか、意欲的に情報交換する様子が見られた。

最後に、審査員の守島教授に、第2回グッド・アクションの総括をいただいた。

人事が本領を発揮する時代がやってきた

今回は、内容が充実していたように思います。昨年よりも、「働きがい」や「働きやすさ」といった働く人のための取り組みが目立ち、そもそもの施策の目的がわかりやすかった印象です。

守島基博 一橋大学大学院商学研究科 教授 厚生労働省労働政策審議会労働条件部会委員、経営行動科学学会長などを歴任。著書に『人材マネジメント入門』『人材の複雑方程式』『人事と法の対話』がある。

今、企業に求められているのは、表層ではなく、『深層のダイバーシティ』の活用。これは、目で見てもわからない世界で、「グッド・アクション」でいえば、働く人の価値観や大事にしているものを指します。これまで管理しにくかったものを表面化し、モチベーションや働きがいのために活用する努力がなされはじめたのです。今後、企業としては、その深みに対応するのが課題だと思います。

たとえば、NTTコミュニケーションズの例は、「中高年の活性化に成功した」というだけでは言い尽くせない。実は、50代は多様な価値を持っている人たちです。人事が、一人一人持っている個別の考えを明らかにし、どうすればいいかという対策まで「話し合った」ことが大きな評価ポイントだと思います。個人をいかに浮き立たせるかということが、人事として重要なのです。

また、オンデーズの取り組みからわかるのは、経営側と仲間側から見える世界は違うという事実。仮に経営陣は評価していなかったとしても、みんなから見たら大好きで、信頼できる人に光を当てられる仕組みが大きく評価されました。

もちろん、人事は、最終的には経営にいかに貢献するかがゴールです。楽しい施策はあくまで手段で、楽しいことがどう業績に結びついていくかを考えることが重要だと思います。

バブル経済が崩壊し、正規雇用システムが失われて以来、働く人を大事にする人材マネジメントは、次第に忘れられてきました。でも、働く人を大事にした取り組みに光を当てていくことで、最終的に経営にも関わることにつながるという重要なメッセージになると考えています。

今後は、従業員の成長をサポートする取り組みが増えるといいなと思います。ただし、人を成長させることは、時間もかかるし、難しいものです。どんなに社員を楽しませたり、仲間意識を作ったりしても、長期的に見れば、社員を成長させなければ意味がありません。

人事は最終的には、いかに人を成長させるかが本分なのです。有能な社員をスカウトする戦略のための人事も大事ですが、それだけでは、ただのダイヤモンドの原石に過ぎません。それをいかに磨いて輝かせるかが、人事が本領発揮する部分なのです。

 守島教授の言葉、そして今回の受賞事例。その取り組みを紹介するグッド・アクションには、日本の活力が凝縮されている。さあ、来年はどんな取り組みが?