低価格競争に参戦し大谷翔平効果も及ばなかった伊藤園、巧みな値上げで回復してきたコカ・コーラ・・・両社の明暗を分けた決定的な要因とは?
苦しむ伊藤園と対照的なのが、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(以下、コカBJH)だ。2024年12月期(国際会計基準)は、売上高8926億円(前年度比2.8%増)、事業利益120億円(同5.9倍)の大幅増益で着地した。

背景には、戦略的な値上げがある。2019年に業界をリードして27年ぶりの実施を発表すると、競合も続々と追随。2022年以降は毎年決行し、すでに発表している今年10月実施分を含め、この6年で9回の価格改定に踏み切ることになる。実際、炭酸飲料「コカ・コーラ」(500ミリリットル)の価格は、10月に200円の大台に乗る。
値上げの商品や時期を細かく分ける
同社は2022年5月に一部の大型ペット製品(1.5リットル、2リットル)を量販店とオンラインの販路に絞って値上げ。2023年5月は缶や大型ペット製品など、2024年5月は一部の小型パッケージ製品や紙パック製品、2025年5月は果汁製品のみをそれぞれ全販路で値上げするなど、対象商品や時期を細かく分けてきた。
値上げに他社が追随してこなければ、競合品との価格差が広がり、大きく数量が減少するおそれがある。他社品と差別化できている競争力のある商品や、一定の容器、カテゴリーを対象に柔軟に値上げすることで、需要への影響を最小限に抑えてきた。
とはいえ、同社の“稼ぐ力”は決して十分とはいえない。コロナ禍には赤字に陥り、ようやく黒字が定着してきた2024年12月期も、事業利益率は1.3%程度にとどまっている。
伊藤園が業績を下げたように、値上げと薄利多売の両立は容易ではない。コカBJHの値上げは限界に来ているのか。値上げが予定されている10月以降の販売動向が、その成否を判断する1つの試金石となりそうだ。
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