軽く尻もちをついただけなのに…65歳を過ぎると女性に急増する「いつの間にか骨折」の深刻な怖さ

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ハワイ骨粗しょう症センターの研究チームが1982年から1991年の10年間にわたり、①広島県在住の日本人、②米国ハワイ州在住の日系人、③米国ミネソタ州在住の白人を対象におこなった脊椎X線写真の比較調査によると、「日本人女性の複数の椎体骨折の有病率は65歳以降に急激に増加する」ことが明らかになったといいます。

出所:『人は背中から老いていく 丸まった背中の改善が、「動ける体」のはじまり』より)

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

複数の椎体骨折は後弯症をよりひどくすることが言われているので、複数個起こさないための対策が必要です。日本人においては、閉経を迎えて骨密度が低下しやすくなり、徐々に弱くなっていった多くの背骨たちが、65歳を機に、一気に骨折の方向に転じてしまうのです。

「いつの間にか骨折」の3つのサイン

『人は背中から老いていく 丸まった背中の改善が、「動ける体」のはじまり』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

痛みをともなわない椎体骨折は自覚症状がなく、なかなか気づきにくいという怖さがあります。「背中の丸まりが強い女性ほど、知らず知らずのうちに椎体骨折を複数保有しているケースが多い」という論文も複数発表されており、X線やMRIを撮影することによって初めて発覚するケースも少なくありません。

●健康診断で身長を測ったら縮んでいた

●近しい人から「背が縮んだ」「背中が丸くなった」と最近よく言われる

●腰痛はないものの、立っていると疲れやすい

これらは「いつの間にか骨折」のサインという可能性があります。「ひょっとして」と思ったら、すぐに専門の医療機関を受診しましょう。

この「いつの間にか骨折」を回避することを目指すうえでは、運動のみならず、骨を強くするための食事がきわめて重要になってきます。また、日常動作が発生の起点になりやすいので、前かがみの作業を減らしたり、転びやすい環境を避けたりすることで発生の確率を下げることが可能です。

野尻 英俊 医師、医学博士

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のじり ひでとし / Hidetoshi Nojiri

整形外科専門医、脊椎脊髄外科専門医、脊椎脊髄外科指導医。1997年、順天堂大学医学部を卒業後、同大学附属順天堂医院にてキャリアをスタート。的確な診断と精度の高い手術を心がけて研鑽を積み、これまでに数多くの背中に問題を抱える人々を救ってきた。現在は、2019年に新設された同大学の脊椎脊髄センターで、副センター長の重責を担っている。専門は脊椎変性疾患、脊柱変形。

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