働く個人は「ワークライフバランス」「副業・兼業」の本質をどう捉えるべきか? 《1人ひとりが「自分株式会社」の経営者》の視点で考えてみる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

それでは、こうした小さな円のバランスが壊れてしまうリスクに備えるには、どうすればいいのか。答えは簡単で、「より大きな円のバランスにしていけばよい」のだ。

仮に、年収400万円でワークとライフがバランスしたのであれば、それを維持するのではなく、仕事(ワーク)でより一層の努力をして年収600万円を目指すのだ。

逆に、生活(ライフ)の円を大きくしようとしてもいい。趣味をより充実させようとすれば、それなりにお金と時間がかかる。たとえば、300万円の車を買って毎週のようにあちこちにドライブに出かける。それを実現して、車のローンを払うためにワークを頑張るというのもあり得るだろう。

大切なのは、バランスした状態に安住することなく、均衡状態を自ら壊して、どちらかの円を大きくすることを考え、実行することだ。

第1回で、マネジメントの葛藤に直面したとき、「振り子」で考えることをお勧めした。ワークライフバランスも同じで、バランスが取れている状態は安定しているがゆえに成長につながらず、長い目で見れば決して良い状態とは言えない。

ワークの側でもライフの側でもいいので、自ら振り子を振って、健全な不均衡を作り出すことが大事である。安定した均衡状態を自ら壊すのには勇気がいるが、それが、アイカンパニーの成長につながるのだ。

「副業・兼業」の是非

近年、労働時間が短くなったことで、働く個人に副業や兼業ができる時間が生まれた。こうした時間を活用して、本業以外の仕事をすることにより、スキルアップを図ったり、仕事の幅や人脈を広げたり、地域に貢献したりしたいといったニーズが高まっている。

また、残業代や休日出勤手当がもらえなくなり、本業以外でも稼ぎたい、稼がないと生活が苦しいという人が一定数いるのも現実だ。

企業側も、副業・兼業を認める方向に動いている。

背景にあるのは、労働力人口の減少や人材の流動化だ。会社と個人の力関係で言えば、昨今は会社よりも個人のほうがパワーを持ち始めている。離職を避けるために、多くの企業は働く個人のニーズに寄り添い、副業・兼業を認める制度の導入を進めているのだ。

次ページ良い副業と悪い副業とは?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事