アメリカの大学の学問レベルは果たして世界のトップなのか? ひたひたと、かつしたたかに追い抜いた中国の大学の底力

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今や中国そしてアジアの時代なのかもしれない。19世紀日本に来訪したイギリスの医師・外交官だったラザフォード・オールコック(1809~1897年)は、西欧がアジアを追い越したことについて、謙遜的にこう語っていた。

「世界の歴史でアジア人が演じてきた役割を考えるならば、彼らが敬意を払われることを要求してももっともなことだ。ヨーロッパは、人類の偉大な発生地であるアジアから生まれてきたということだけでなく、アジアに負うところが多い。ヨーロッパ民族は、分家にすぎない。本家が行ない、苦しみ、考え、成就したあらゆるものによって、豊かにされ高められてきたのである」『大君の都』岩波文庫、下巻、236ぺージ)

ランキングが持つブランド力

もちろん、世界ランキングなどというものは「何を基準値にするか」でランク付けが変わるので、その基準値が複数ある以上、本当の研究水準を表わしているものではないかもしれない。

しかしながら、ランキングはその大学が世間に示すブランド力でもあり、それによってそれぞれの国や世界での予算や待遇の違いが生まれてくるわけで、けっしておろそかにできないものである。

だから日本ではすでに学歴ロンダリングとして、日本の有名大学に入学できなかった者がアメリカの大学への留学を通して学歴を「引き上げている」。

アメリカの大学はたとえ無名であったとしても、THEのランキングによるとそれなりのランキングに位置づけされているので、そのブランド力が持つ力は絶大であり、本国の大学以上に評価される場合が多い。

アメリカの場合、ランキングが国家予算の配分額に影響すると同時に、外国人留学生の受け入れにも大きな影響を及ぼす。アメリカの大学は、巨大な外貨を稼ぐ大きな輸出産業ともいえる。数兆円規模の授業料を稼ぎ出しているのである。

トランプがブランドを無視し、ランキングを無視すれば、留学生はアメリカの大学を選ばなくなるだろう。だから、大学ランキング低下は英米圏の研究のみならず、商売としても大きな損失となる。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事