アメリカの大学の学問レベルは果たして世界のトップなのか? ひたひたと、かつしたたかに追い抜いた中国の大学の底力

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そもそも大学ランキングとは、何を意味しているのだろうか。私もかつての勤務先の大学で国際担当副学長をしていた関係で、この順位には毎年一喜一憂したものだ。

もともとこの定評あるTHEランキングも、海外から大量の留学生を呼び込むための商業戦略として意味を持つもので、その意味でアングロ・サクソン(英語圏)の大学向けのものだ。

学問研究に限ってみても、英語論文の数とその引用数が重要な要素となっている。だから日本語や中国語の論文は、なかなか大学評価としてカウントされないシステムなのだ。

大学ランキングが持つ陥穽

とりわけ文系中心の大学、たとえば一橋大学などは1200~1500番の位置にしかない。理系は今では英語で論文を書くことが多いのだが、文系は修辞的表現を重んじるので、母国語で書く場合が多い。だからTHEも日本語もカウントに加えようと努力しているようだが、ことは簡単ではない。

日本に社会科学や人文科学の世界的に知られた国際的学術雑誌があまりない以上、カウントは難しいし、まして海外の研究者から引用されることはあまりないだろう。なぜなら文系の学問は、西欧古典の人文主義の伝統の上にあり、ほぼこれらの研究が占めているからだ。

不思議なのはレベルの高いはずのロシアの大学のランクだ。ロシアの大学は、いずれも低い位置にある。ロシアの誇るモスクワ国立大学ですら107位だ。ロシアの研究水準の高さを思うとき、これは不思議なことだといわざるをえない。

最近オランダにあるライデンの研究所が、驚くべき計算方法で算出した大学研究世界ランキングを出した(CWTS Leiden Ranking)。それは研究だけでランキングをつけたのだ。

もちろん理系対象であるので英語論文がその基準になるのだが、とりわけオランダが誇る引用データベースを使って、その研究水準の世界ランキングを割り出し、それを公表しているのだ。これによると、驚くべきことに次のような順位になっている。

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