続いて、山本氏は「パワートレインはパーパス(目的)ではなく、ソリューション(解決方法)。ソリューションは時代の中で絶えず変わっていく。人々がロードスターに求めているのは、電動化かガソリンエンジンかではない。このクルマは移動の手段ではなく、人々を幸せにするクルマだから」と、EV化を否定しない。

また、こんな話もしてくれた。
世の中で電動化の流れが始まった時、「ガソリンエンジンの音がするのがロードスターなんだ」という人が少なくなかったが、山本氏はこう説明したという。
「いやいや、ロードスターは社会の要請に応えなければならないし、社会からちゃんと支持されなければならない。電動化はソリューション。乗って幸せになるソリューションが電動化(EV)だから、『新しいロードスターの夢を見ませんか?』と言った」
すると、説明を聞いた人たちは「(私たちも)そんな夢を見てみたい」という反応があったという。EVになったロードスターが、どんな世界を自分たちに与えてくれるのかという、ロードスターユーザーにとっての世界観の話だ。
そして、貴島氏の答えだ。
ロードスターがどんな世界を与えてくれるのか
「(技術面では)ニュートラルステア。加速しても減速しても旋回半径が変わらないことを実現すること。エンジンがなくなりEVになっても、前後重量配分を50:50にすることで、ニュートラルステアができる」と、ロードスターがロードスターであるべき基本を改めて説明してくれた。
さらに「(ロードスターと)一緒に生活することが、楽しい。(だからこうして)ロードスターをメディア(媒介)として人が集まる。皆の幸せホルモンが出ている」と、改めてロードスターの商品意義を振り返る。

貴島氏は、こうした“クルマと過ごすこと”の楽しさを工学的に翻訳する「感性工学」という分野を通じて、各大学で講義を続けている。
「なにも説明はいらない。乗ったらわかる」
それがロードスターの本質であり、あるべき姿だと貴島氏はいう。
果たして、NEはEVになるのか? 大きな期待を持って、その登場を待ちたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら