ついに「EV化」に言及! 歴代4人の主査が語る「ロードスター」のあるべき姿とEV化の正当性

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続いて、山本氏は「パワートレインはパーパス(目的)ではなく、ソリューション(解決方法)。ソリューションは時代の中で絶えず変わっていく。人々がロードスターに求めているのは、電動化かガソリンエンジンかではない。このクルマは移動の手段ではなく、人々を幸せにするクルマだから」と、EV化を否定しない。

貴島孝雄氏(左)と山本修弘氏(右)も筆者の取材に応えてくれた(筆者撮影)
貴島孝雄氏(左)と山本修弘氏(右)も筆者の取材に応えてくれた(筆者撮影)

また、こんな話もしてくれた。

世の中で電動化の流れが始まった時、「ガソリンエンジンの音がするのがロードスターなんだ」という人が少なくなかったが、山本氏はこう説明したという。

「いやいや、ロードスターは社会の要請に応えなければならないし、社会からちゃんと支持されなければならない。電動化はソリューション。乗って幸せになるソリューションが電動化(EV)だから、『新しいロードスターの夢を見ませんか?』と言った」

すると、説明を聞いた人たちは「(私たちも)そんな夢を見てみたい」という反応があったという。EVになったロードスターが、どんな世界を自分たちに与えてくれるのかという、ロードスターユーザーにとっての世界観の話だ。

そして、貴島氏の答えだ。

ロードスターがどんな世界を与えてくれるのか

「(技術面では)ニュートラルステア。加速しても減速しても旋回半径が変わらないことを実現すること。エンジンがなくなりEVになっても、前後重量配分を50:50にすることで、ニュートラルステアができる」と、ロードスターがロードスターであるべき基本を改めて説明してくれた。

さらに「(ロードスターと)一緒に生活することが、楽しい。(だからこうして)ロードスターをメディア(媒介)として人が集まる。皆の幸せホルモンが出ている」と、改めてロードスターの商品意義を振り返る。

オーナーたちの笑顔や愛車を見れば、“クルマと過ごすこと”の楽しさがよくわかる(筆者撮影)
オーナーたちの笑顔や愛車を見れば、“クルマと過ごすこと”の楽しさがよくわかる(筆者撮影)

貴島氏は、こうした“クルマと過ごすこと”の楽しさを工学的に翻訳する「感性工学」という分野を通じて、各大学で講義を続けている。

「なにも説明はいらない。乗ったらわかる」

それがロードスターの本質であり、あるべき姿だと貴島氏はいう。

果たして、NEはEVになるのか? 大きな期待を持って、その登場を待ちたい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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