【量産初のEVは軽自動車だった】BYDが軽EV市場参入を表明、迎え撃つ日産「サクラ」と三菱自「eKワゴンEV」、ホンダ「N-VAN e:」の動向と展望

一方、軽自動車販売は、ディーラーと呼ばれる販売店だけでなく、整備工場などが代理店として仲介役になり、永年の付き合いがある地元消費者の手にわたっている現状もあり、全国でディーラー網100店舗を目指すBYDの拠点数で行きわたるのかという不確定要素はありそうだ。
とはいえ、BYDは今年4月に既存の新車において値下げを実行しており、割安感のあるEV販売は世界的な価格戦略でもある。今、日本で販売されている軽乗用EVの選択肢は、日産自動車(以下、日産)「サクラ」と三菱自動車工業(以下、三菱自)「eKクロスEV」で、ともに260万円以下から購入できる。それに対し、BYDはどのような価格設定でくるのだろうか。
EV量産化は軽自動車からはじまった

世界ではじめてEVを量産市販したのは、三菱自であり、2009年に「i-MiEV(アイ・ミーブ)」を発売した。世界初の量産市販EVは、軽EVからはじまったのだ。
しかも翌2010年には、フランスのプジョー・シトロエングループ(PSA)に対してOEM供給され、プジョー「iOn(イオン)」、シトロエン「C-Zero(シー・ゼロ)」として欧州市場でも販売された。日本の軽EVが、欧州の日常の足として活躍する可能性があることを先取りした事例といえるだろう。
ただし、i-MiEVの国内における新車価格は、当初459万9000円(当時の消費税5%込み)と高価であり、予定販売台数も約1400台(6月発売での2009年度内)と限られ、大きな反響を呼ぶ数字にはいたらなかった。

翌2010年に日産が初代「リーフ」を発売し、価格は376万円余からとし、登録車のリーフのほうが安い状況となった。
さらに日産は、充電への不安を少しでも解消しようと、全国の販売店網(約2200店舗)に普通充電器を備え、そのうち約200店舗には急速充電器を設置し、半径40km圏内に日本全国急速充電拠点が設けられるという対策を施した。こうした日産の取り組みは、今日なお、充電のよりどころとしての安心を所有者にもたらしている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら