「がん」が見つかった人が直面する「もっと早く気づいていれば」の後悔と「どうして自分が」の絶望。がん専門医が伝えたい《心の保ち方》

「なぜ早期発見できなかった?」の後悔
私ががん患者さんと外来でお話をしていて感じることは、「なぜもっと早く自分のがんに気づけなかったのか?」ということをずっと後悔する人が多すぎることです。
特に、突然進行がんを告知された患者さんは、ほぼ全員が「あのとき、病院に行っていれば」、「もっと早く気づいていれば……」といった気持ちを吐露されます。
このような気持ちになるのは当然です。ただ、後悔の念を引きずったまま治療に突入することは避けて欲しいのです。
「がんは早く見つかったほうがいい」ということは確かです。ただ、仮に3カ月前、6カ月前、あるいは1年前にがんが発見されていたとしても、予後(治療の経過や見通し)が大きく改善していたという保証はありません。
がんのなかには進行の早いものと、遅いものがあります。ただ、一般的には、がんはゆっくりと進行します。
がんの進行速度を、遺伝子変異を使ったモデルで計算した研究によると、がん細胞が発生し、がんになる手前の病変(前がん病変)を経て、検査で発見される「がん(かたまり)」になるまでに、およそ12年かかるということです。
その後、最初にできたところにとどまっていたがんが、周囲の組織やリンパ管、血管に広がるまでに7年、さらに、遠くの臓器などに転移し、最終的に患者さんが死亡するまでに3年かかると計算されました。
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