「がん」が見つかった人が直面する「もっと早く気づいていれば」の後悔と「どうして自分が」の絶望。がん専門医が伝えたい《心の保ち方》
例えば、これまでの「平穏な日々」が失われたと感じる人も多いでしょう。入院や外来通院には時間がかかるので、大切な「時間」を失うことになります。
また、がん治療には高額な医療費もかかるので、「お金」を失うことになります。なかには、会社での「地位」や「仕事」そのものを失う人もいるかもしれません。
がんになったことで「親友や仲間」、「信頼していたパートナー」との関係がぎくしゃくしてしまい、疎遠になってしまうかもしれません。ほとんどの人が、失ったものにとらわれ、「神が自分をいじめている」と考えるのではないでしょうか。
一方で、「自分ががんになったことは、何か意味がある」と考えることもできます。ものごとは、とらえ方によっては、幸にもなり不幸にもなります。
例えば、がんになったからこそ気づく〝幸せ〟もあるのではないでしょうか。
「がんからの贈り物」の意味とは
「キャンサーギフト(cancergift)」という言葉をご存じでしょうか。文字通り「がんからの贈り物」です。つまり、がんになったことで、初めて気づく大切なことです。
「がんになって良かったことなんて、あるはずがない」、あるいは「キャンサーギフトなんて、きれいごとに過ぎない」と思う人もいるでしょう。でも、よく考えてみてください。がんにならなかったら発見することができなかった「気づき」はありませんでしたか?
例えば、「生きていることの喜び」、「1日1日の大切さ」、「家族の愛情」、「周りの人のやさしさ」、「健康のありがたみ」、「食べ物のおいしさ」、「何気ない風景の美しさ」など、どんな些細なことでもかまいません。
たったひとつでもいいので、探してみてください。そして、キャンサーギフトに気づいたら、その都度メモ帳や日記、ノートに書き込んでください。いつの間にか、キャンサーギフトのリストで、いっぱいに満たされているかもしれません。
このような「がんからの贈り物」に気づくことで、少しでも精神的な苦しみから解放され、がん治療への前向きな気持ちが生まれるのです。実際に、「がんになって良かった」という考えに至るがん患者さんもいるのです。
がんを精神的に克服した人は、このキャンサーギフトに気づき、いつも感謝の気持ちを持っています。常に誰かに「ありがとう」と言っています。自分を支えてくれる家族や友人、医師や看護師に感謝しています。
そして、自分が今生きていることに感謝するのです。すぐには難しいかもしれませんが、少しずつでも「良かったこと」を感じ取ることができるようになれればいいですね。
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