どれだけ乗っても「週5000円以内」シドニー鉄道旅 海外は物価高いが交通費は?日本とどう違うのか

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気になる運賃だが、券売機で1回の切符を購入すると90分有効のものが日本円で約500円となる。トラム、メトロ、近郊鉄道、さらに路線バス、定期船を含めた公共交通すべてに有効であるが、いわば初乗りが500円なので高額に感じる。

ところが、「オパル」というICカード乗車券を利用すると初乗り運賃は約300円となり、シドニーでは旅行者も含めてほとんどの人がこのカードを利用している。1日券などはない代わりに、1日の上限が決まっていて、平日は約1800円、週末(金、土、日曜)は約900円分以上引き落とされない仕組みだ。2024年7月2日付記事(将来の北海道?「ニュージーランド」鉄道の実態)でも紹介したが、ICカードに1日の引き落とし額の上限を設定する国が多くなった。また、金曜日が週末に含まれているという点に豊かさを感じる。

1週間の交通費はどれに乗っても5000円が上限

さらに、月曜日から日曜日までの1週間の上限額も約5000円、つまり、観光バスや遊覧船にでも乗らない限り、シドニーエリアの交通費は1週間5000円を超えることがない。仮に旅行期間が木曜日から翌週の水曜日だったとしても1万円を超えることがないのである。鉄道、バス、船も含まれているので、この価格でシドニーエリアを思い切り楽しむことができた。筆者は月曜日から公共交通機関を使って動き回った結果、水曜日の午前中には上限の5000円に達し、水曜日の午後以降、木、金、土、日曜は、どれだけ乗ってもカード残額が減らなくなった。

公共交通機関の範囲は鉄道で100〜200km離れた区間も含まれるほか、シドニートレインズはじめ、インターシティ、メトロ、トラム、路線バス、定期船も含まれる。シドニーから約160キロ離れたニューカッスルへも足を延ばした実質無料であった。さらに驚いたのは160キロ離れたニューカッスルのトラム、路線バス、渡船に乗っても無料であったことだ。

日本でたとえるなら、都内で週の初めにJR、地下鉄、私鉄、路線バス、墨田川の定期船などを5000円分利用、すると週の後半に在来線で宇都宮へ無料、さらに宇都宮のトラムや路線バスにも無料で乗れるような感覚となる。逆も同じで、週初めに遠くへ行けば、週の後半は都心での交通費がすべて無料になる仕組みだ。「1週間(月曜から日曜)の交通費は5000円を上限」というのが徹底している。

「オパル」カードには発行がニューサウスウェールズ州とある。交通機関は実際には異なる事業者が運営するものの、すべて州の管轄下にあるのでこのようなことが可能なのであろう。日本では「青春18きっぷ」が「激安」などといわれるが、こういう事例を見るとそうでもないと感じる。日本では「青春18きっぷ」のルール変更で使い勝手が悪くなったが、その大きな理由が自動改札機対応であった。しかし、世界ではICカード乗車券をうまく利用し、カード乗車券自体が割引切符同様の機能を持ち、多くの人がその恩恵を受けている。日本の考え方は古いと感じる。

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