吉野家が「5年でラーメン事業の売上高を80億→400億に」と宣言。実現できたらどの程度凄いのか? そして案外“いい戦略”かもしれないワケ

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まだまだ予断を許さぬ状況だが、経営的に深刻なダメージがあったとは言い難い。

すき家の外観
女性やファミリー層の需要を発掘し、郊外から店を広げていったすき家(筆者撮影)

これには、そもそもすき家を運営するゼンショーグループが、海外での寿司デリバリーをはじめとするグローバルファストフードなどの店舗数・売上高を大きく増やしていることも大きい。すき家だけでなく、国外までをも含めた業態で戦うホールディングスになっているわけだ。

2025年2月期の決算によれば、吉野家HDでも、吉野家事業単体でも増収減益。はなまるうどんが増収増益と順調に伸びているものの、ホールディングスの中で圧倒的な店舗数を誇る吉野家以外の軸足を見つける必要は、確かにあるといえるだろう。

とはいえ、フラつきが隠せなかった吉野家

こうした事情が重なったところで、事業多角化の試みが大々的に繰り広げられることになる。ただ、焦りからだろうか、その歩みにはどうも「フラつき」が隠せなかったのが正直なところだ。

2024年12月には新業態の「カレー専門店 もう~とりこ」と「から揚げ専門店 でいから」をオープン。さらにその前年の2023年には牛カルビ丼やスンドゥブ専門店の「かるびのとりこ」も開業している。

ただ、これら吉野家自身が開発した新規業態がうまくいっているかといえば、少し答えに困ってしまう。

例えば「かるびのとりこ」は2026年度までに30店舗を目指す予定ではあったが、現在は6店舗を構えるのみ。これから猛烈な勢いで増やす可能性も残っているが、一般的なレベルでは、とくに話題になっていない。

こちらもオープンしたばかりで成否を判断するのは早いが、「もう〜とりこ」も、なぜか1号店が浅草六区のど真ん中。ストリップ劇場である「浅草ロック座」の隣にある。国内外からの観光客が多く集まる地での堂々たるオープンである。観光客の多くはカレーが好き、ということを見込んでのことだろうか。

もう~とりこ
「もう~とりこ」の外観。こんな店舗もオープンしている(写真:大関まなみ)

そのようないくつかの業態が必ずしも好調といえないなかで、ラーメン事業については比較的うまく進んだ。吉野家のラーメン事業の特徴は、M&Aで拡大をしているところにある。他の新業態のように、自社でフォーマットを作るのではない。

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